読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

リリアとトレイズ Ⅰ・Ⅱ そして二人は旅行に行った〈上・下〉  時雨沢恵一著 電撃文庫 2005年

 『アリソン』シリーズの続編。
 ネタばれになってるかな、すみません;

 アリソンとヴィルの娘・リリア(15歳)と、イクス王国フランチェスカ女王と英雄ベネディクトとの息子・トレイズ(16歳)は幼なじみ。
 ロクシアーヌク連邦空軍大尉アリソンは新型機のテストパイロットに選ばれたため、夏休みをリリアと過ごせなくなった。埋め合わせとしてアリソンは、リリアにトルカシア国ラーチカへの観光旅行を勧める。但し、トレイズが同行することが条件。不満ながらもリリアは承諾、二人で湖上に出来た人工都市・ラーチカへ出発する。
 ラーチカはこの頃ではイクス国に観光客を取られ、閑古鳥が鳴いている状態だった。空から街を眺める遊覧飛行機に乗った二人は、湖面に浮かぶ水上戦闘機を見つける。遭難かと声をかけた遊覧機のパイロットは頭を打ち抜かれ、逃げ出した二人も戦闘機に追いかけられた。何とか岸には辿り着いたが、遊覧機は爆破され、二人は森の中を歩き始める。
 途中で見つけた小屋で一晩を過ごす二人。朝になって姿を現した小屋主モルソーは、丁度孤児達を乗せて飛ぶチャリティ遊覧飛行があるから、それで都市へ帰ればいい、と紹介状を書いてくれる。だがそのイベントには隠された計画があった。わざと飛行艇を落として子供たちを見殺しにする事で、ラーチカの状況を国の上部に知らせ、またラーチカを発展させようという軍部の暴走に、二人は巻き込まれることになる。
 パイロットの逃げた遊覧飛行機の中で、トレイズが操縦桿を握る。湖面に着水させようとするが、飛行艇を見張る水上戦闘機のためにそれもままならない。水上戦闘機が飛行艇を撃ち落とそうとした間一髪、アリソンの乗った戦闘機が駆けつけた。
 何とか助かりはしたものの、トレイズには多少の疑問点が残った。その夜、アリソンの恋人・トレヴァス少佐がトレイズの元を訪れ、今回のごたごたの真相を話す。…

 他に、アリソンからヴィルに宛てた、出されることのなかった手紙を描いた短編『遺書』
 20年前の敵国スー・ベー・イルからロクシェへの転校生メグとリリアとの出会いを描いた『メグとリリア』収録。…

 
 トレイズ、いい男だなぁ。軍部の理不尽さに納得行かなくて、それをきちんと伝えながらも、トレヴァスにお礼を言う。どうしてリリアを好きなんだろう、そんなに魅力的な女の子には思えなかったけど(←こらこら)。負けず嫌いだから何でもできるトレイズが憎たらしいんでしょうけど、でも可愛気ないよなぁ(苦笑;)。
 アニメにもなってますが、どう考えても原作の方が上ですね。アニメはテンポ悪いし「いや、ここは要るだろう??」って台詞やエピソードを端折ってしまって、何だか薄い話になってしまってる気がしました。
 食べ物や乗り物、銃器に関する細かさは相変わらず。あとがきへのこだわりもさすが時雨沢さんでした(笑)。