読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

リリアとトレイズ Ⅴ・Ⅵ 私の王子様〈上・下〉  時雨沢恵一著 メディアワークス電撃文庫 2007年

 『リリアとトレイズ』シリーズ三作目。
 ネタばれになるかな、すみません;

 アリソンとリリア母娘は春休み、列車に乗って北海ロル国へ。ベゼル王国マティルダ王女を護衛していたトラヴァス少佐と旅先で落ち合う予定だったが、機関車の故障でマティルダやトラヴァス一行、マティルダの案内をしていたトレイズと同じ列車に乗ることになる。
 故障は“囚人42号”と呼ばれる殺人犯の仕業だった。列車の中、閉ざされた空間で殺人が起きる。毒殺された学生の死体を前に、トラヴァスに詰め寄る乗客たち。反対に、トラヴァスは冷静に、乗客を扇動していた夫婦を指摘し追い詰める。切羽詰まった夫婦はリリアを人質に取るが、アリソンの活躍で事なきを得た。だが直後、その夫婦は血を吐いて死ぬ。あらかじめ毒を盛られていたらしい。
 ここまではっきり狙われては、一般乗客と一緒に旅する訳にはいかない。トラヴァスは客車を切り離してトレイズをリリアやアリソンと同じ車両に乗せ、自分たち護衛はマティルダ王女と先に行くことにする。果たしてトラヴァスたちを狙うテロ集団が現れたが、誤情報をもとにしたあまりにも杜撰な計画に、トラヴァスはかえって疑問を抱く。マティルダの命令の下、トラヴァスたちは強盗団の車を奪ってリリアたちの乗る列車に向かう。その頃リリアは“囚人42号”によって拉致され、トレイズは単身その後を追っていた。“囚人42号”はトレイズに異常な執着を見せていた。…

 Ⅴ巻にはカルロの孤児院脱走エピソードを描いた ★小生意気なガキ・趙拡大版★「カルロの華麗なる冒険」を
 Ⅵ巻には「王子観察記」を収録。

 “囚人42号”の問いかけに堂々と「よく分からないんだ!」と答えるトレイズ。思わず笑ってしまいました。トレイズ、真面目だなぁ(笑)。王子の身分を「ずっと隠すつもりだった!」「ならよし!」の会話も素敵(笑)。
 “囚人42号”なんて本来嫌感を抱かせるキャラクターの筈なんですが、面白かった。ここまで自分の欲望に忠実だとねぇ(笑)。現実逃避するトレイズの気持ち、よく分かるぞ。最後にはやっつけられることは大前提ですし、安心して読めました。
 何でも良くできる男の子、ってのは彼氏にはいいかもしれないけど、何かと張り合う幼馴染みとしては、そりゃ憎たらしいでしょう。その頃の気持ちを引きずったままのリリア、今度は素直になれたかな。とりあえず、ダンスの相手が見つかってよかった(笑)。