読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

マリア様がみてる~マーガレットにリボン 今野緒雪著/ひびき玲音イラスト 集英社コバルト文庫 2008年

 『マリみて』シリーズ、31冊目。
 短いエピソードを連ねた短編集。
 ネタばれあります、すみません;

 下級生への、バレンタインチョコのお返しに悩む祐巳たち三人。遊園地でキャンディーを購入したものの、それだけではちょっと何かが足りない感じがする。ラッピングで悩みながら、話題はあちこちに飛ぶ。

 大学入学に当たり、今までのキャラを変えよう、と決意した先代紅薔薇さま水野蓉子。目指したのは佐藤聖のいい加減さと、可愛い孫・福沢祐巳の親しみやすさだったはずなのに、やはり同級生たちにはそうは見えないらしい。親友に憧れてそうなりたいと思っていた川藤さん、東北弁を気にして無口になっていた日村さん、一見クールでボーイッシュに見えるが実は子持ちの徳永さん。みんなイメージチェンジを狙っていた。…:『デビュー』

 山辺さんの娘・亜紀ちゃんと会うことになった先代黄薔薇さま鳥居江利子。亜紀ちゃんはアルバムを見せたり、お母さんの話をしたり色々なことをして、江利子を試す。…:『ライバルがいいの』

 加東さんと一緒にイタリア旅行に行くことになった先代白薔薇さま佐藤聖。日程がどうもリリアン女学園高等部の修学旅行と被ってしまったらしく、空港でも身を隠すのに必死。聖はイタリア旅行を存分に楽しむ。…:『フィレンツェ煎餅を買いに』

 夏の終わり、自分たちや上級生たちの呼び方・呼ばれ方、いずれ出来るだろう妹の呼び方・呼ばれ方に思いを馳せる。…:『「さん」付け問題』

 藤堂家の次男・賢文が、一回り離れた兄・准至が家を出て行った経緯や、その兄が連れて帰ってきた姪・志摩子について自分の思いを語る。…:『僕の兄妹』

 帰り道、蟹名静さまへのエアメールを投函する祐巳。なのにその直後、帰国していた静に出会ってしまう。…:『ユミちゃん絵日記未来編①』

 土曜日、祐巳瞳子はデートの予定。瞳子の用意した油揚げと、お弁当用の稲荷寿司を持って、稲荷神社にお礼参りに出掛ける。…:『ユミちゃん絵日記未来編②』

 梅雨時、パン屋でバイトをしていた「私」。時々見かける、少し好意を抱いていた男性が、青い花柄の傘を捨てるのを見てしまう。帰り道、その傘を拾いながら、その男性への思いが醒めていくのを感じる。
 通学路に落ちていた青い傘を、警察に届けるつもりで拾った「私」。同じ小学校の男子にからかわれ奪い合ううちに、歩道橋から街路樹に傘は引っ掛かってしまう。
 長く連れ添った夫に先立たれ、子供たちから同居を提案された「私」。飛び出した先のお稲荷さまで、青い傘と子猫を拾う。
 いきなり恋人の律子から別れを切り出された「俺」。福島に帰って農家を継ぐのだとか。餞別がわりに貰った青い傘はその日、ゴミ捨て場にあったのを拾ってきたものだとか。ピンクの糸で補修しながら、「俺」は考え、福島駅へ向かう。青い傘と財布を持って。
 高校時代の同級生の結婚式へ出た「私」。帰り、駅で青い傘を拾う。新郎新婦と「私」といつもつるんでいた中森君に声を掛けられ、高校時代の思い違いを知る。…:『青い傘の思い出』

 …このサブタイトル、さすが集英社、と思ってたら偶然なんだそうですね(笑)。
 久しぶり、先代薔薇さまたちに出会えて嬉しい。何でもない日常、ささやかな感情、これこそ『マリみて』の真骨頂ですね。
 青い傘の話はいつか読めたら、と思っていたのでとても嬉しかった。それにしても最初に傘を持っていった男、最低だなぁ。
 数時間で巾着袋を簡単に作ってしまえる祐巳ちゃんたち、器用で羨ましい。…それとも普通の女の子ならするする出来るものなのか?? …反省します;;