読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

あのひととここだけのおしゃべり よしながふみ著 太田出版 2007年

 漫画家よしながふみの対談集。
 
 やまだないと(漫画家)×福田里香料理研究家) 「私たちの大好きな少女マンガ」
 三浦しをん(小説家)その1 「フェミニズムはやっぱり関係なくないのよ」
 こだか和麻(漫画家) 「ボーイズラブじゃないと描けないこと」
 三浦しをん(小説家)その2 「やおいは男同士でなくてもいい」
 羽海野チカ(漫画家) 「メディア化するということ」
 志村貴子(漫画家) 「表現は選択できない」
 萩尾望都(漫画家) 「マンガ=24年組というくらい…」

 この本を予約したのは昨年の12月27日、その時点で順番は6番目でした。
 …長かった。何でこんなに回ってこないんだよ、市で一冊しか購入してない本で、しかも予約者がざかざか増えて20人以上にもなってる人気図書なんだからちゃんと期間内に返却しろよ、特に二人目と四人目の人! あと二人になってからもちょっと長くて、いい加減司書さんに言いつけてやろうかと思ってたら、いきなり回って来てくれました。…先週金曜日の段階ではまだ2番目だったから、私の前の人は土曜日か日曜日、連絡貰ってすぐに借りて、火曜日に戻してくれたのね、本当にありがとう! あなたもきっと待ちわびていたのよね! と見知らぬ人に親近感を抱いてしまいました(笑)。私もすぐ読んで次の人に渡すよ! と感激しつつ、読み始めたのですが。
 …何、このクレバーな人たちは!? 
 私の体調が悪くて読書速度が上がらなかったせいもあるのですが、読み飛ばせない。一々目が止まってしまう。
 私自身、兄の影響で漫画は『少年チャンピオン』『少年ジャンプ』から入りました。中学生で『花とゆめ』『少女コミック』を知り、高校で『LaLa』『別コミ』、やっと『りぼん』へ先祖返りすると言う経歴。『ぶーけ』はかろうじて水樹和佳さんを読んでましたが、今回多く話題に上がっている『別マ』系がすっぽり抜けてます。だから今回のこの人たちの分析が的を射てるのかどうかは判断できないんですが。
 くらもちふさこさんってそんなに面白いのか…! 紡木たくさんって、私大人になってから読んで、正直面白いとは思わなかったんだけど、そんなにリアルな表現してたのか…。
 「少女マンガって、自分の手を汚さないことかなって思うのよ。汚れる代わりの人を作るのが少女マンガかなって」「たたかって勝ち取って一番になるってことが基本的にできない人たちが読むマンガだと思ってる」「少女マンガって、女の子を全面的に100%肯定するものだよね、あなたそのままでいいのよ、って」
 「少年マンガって幸せにいきてる人をもっと幸せにするマンガだと思うんです。気分よくして、がんばれば勝てるんだ俺もできるって思わせる話だから」
 BLについて「女の子でも普通に読めるポルノ」(←これは私も常々思ってました。ただ、普通に読めるかどうかはかなり疑問・笑)。「ハリウッド映画に時々出てくるバディな関係をもっとクローズアップしたようなもの」「女の子を主人公にする、でもこんなキャラだったら腹が立つという、少女マンガが抱えていた難しい部分をクリアするためにBLが生み出されたところもあるかもしれない」「BLならお仕事ものがある」(確かに以前友人が、「BL読んでると美味しい紅茶の淹れ方とか妙なことに詳しくなる」って言ってたなぁ・笑)。BL内のレイプ表現について「一般のレイプ願望ではないんだよ。その人限定で、どれだけ求めてもらえるか、って話なんですよ」
 『風と木の詩』について「ジルベールは男の子とか女の子とかじゃないじゃん」「それを〈受〉っていうんですよ」。(…爆笑;)
 「白泉社のマンガって、大体トラウマものなの」
 「集英社のマンガって、マンガを普段読まない人にいかにエンターテイメントとしてのマンガを楽しんでもらうかというところにおいて、少女マンガも少年マンガもどちらも努力している」。…本当だ。
 やおいものの同人誌について「そのカップリングが成立するまでを原作のエピソードを上手に盛り込んで描いているものを「学説」と呼びます(笑)」。…爆笑。私も説得されたものがあります(笑)。
 「『誰かいい人いないかなぁ?』って周りに合わせていうのにもう疲れたって、最近友だちとよく言っているんですよ」「ああ…そんな本当のことを言ってしまって(笑)」。…よしながさんのフェミニズムについては、『愛すべき娘たち』読んだら結構気が付くと思うんですが。それにしても、よしながさんのお母様の教えはすごい!(笑)。私も何年も前、友人の結婚式に出席して言われた台詞「次は智ちゃんの番ね~」に曖昧に笑うしかなかった過去を思い出しました(苦笑;)。よしながさん、『カルバニア物語』のTONOさんとも対談してみて欲しいなぁ。
 自身の作品のメディア化について「数あるマンガの中から別の畑のクリエーターの人が、自分の作品を選んでくれたという事の、この嬉しさ、っていうのがあるんです」。…読者の私にしてみれば、自分の面白く思ったものが世間からも認められてるんだ、ってちょっとわくわくします。でも「原作とは別物」と心の中で線は引くけど。
 「『NANA』で描かれていることは、男の人が今までやってきたことを男女ひっくり返して描いている」。…氷室冴子さんがハチの恋愛遍歴を真剣に弁護してた、って一文を見てちょっと嬉しかった。
 『ONE PIECE』は私も実はマンガの方が読み辛くて、アニメを楽しみにしてます。ちゃんと『DRAGON BALL』読んでたのになぁ。
 それにしても、えみくりさんがこんなに評価高いとは思わなかった。
 『西洋骨董洋菓子店』の小野が、最初の設定では女だった、ってのは驚いたしでも納得もしました。…確かに、こんな女性いそうだわ。で、確かに女性読者の支持得られそうもない(笑)。
 とりあえず、マンガ評論をしている人(特に男の人)は読んでおいた方がいいんじゃないかしらん。売れてるとは思うんですけどね、何しろ初刷から半月で第2刷かかってるし。
 さぁ、私は一週間で返却するからね、次の人待ってて下さいね!