読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

こいごころ 畠中恵著 新潮社 2022年

 「しゃばけシリーズ21冊目。

 おくりもの
 長崎屋と取引のある三野屋から相談があった。三野屋の子供が伊和屋の子供とその叔母お沙江に麻疹をうつしてしまった、そのお詫びの品選びが難航しているという。伊和屋の主人は女房を亡くしてから、子供の世話は妹のお沙江に頼りっきりで、お沙江が寝込んで今回かなり困ったらしい。伊和屋の主人に後添えを、という話はいつのまにやら立ち消えになってしまった。だが、その縁談を、双方共に断った覚えはないのだとか。どこから行き違ってしまったのか、若だんなが様子を探る。

 こいごころ
 若だんなの夢に、狐仙 老々丸が現れた。老々丸は弟子の笹丸の妖力の弱さを心配し、大妖おぎんに預けたいという。だが縄張りが荒されたと場久が怒り、兄やたちも介入してきて、若だんなは夢の中から飛ばされてしまった。ようよう広徳寺に辿り着き、化け狸騒動に巻き込まれ、だが兄やたちはあまり妖たちを𠮟らない。若だんなには分からない、笹丸の不調を感じ取っているらしい。

 せいぞろい
 おかみが、若だんなの誕生日を祝いたいと言い出した。店の者総出の宴に、妖たちは参加できない。代わりに離れで妖だけの宴を催すことになったが、参加人数がどんどん増えてくる。世間では盗賊団が跋扈していて、見知らぬ者が集まる宴を、兄やたちは了承できない。果たして、広徳寺で開かれることになった宴に賊たちも忍び込んでいた。盗賊たちは、盗んだ千両箱が行方不明になったのは、長崎屋が関係していると思い込んでいた。

 遠方より来たる
 若だんな掛かり付けの医師 源信が隠居することになった。後継者候補は五人、源信の弟子二人が有力候補だがどちらも決め手に欠ける。しかも五人のうち二人は妖だという。佐助への恨みを若だんなに晴らしに来た者、長崎屋の薬の処方をそのままコピーする者、次々振り落とされて行くうち、源信の薬帳が盗まれるという事件が起きた。話を聞いて、若だんなは事情を見抜く。

 妖百物語
 江戸で百物語が流行っている。若だんなも新医師の火幻ともども料理屋での百物語に招かれた。実際の妖を知っている若だんなからすれば、妖怪を招く百物語なんてものに加担する訳にはいかない。座の途中で帰るつもりだったのに、その家のどら息子がわざと危険な化け物を呼び出す算段をつけていることを知ってしまった。暢気な対応しかしない主催者に、若だんなは困惑する。…

 題名が『こいごころ』って、誰の色恋沙汰だ??と思ってたら、幼くも切ないこいごころでした。普通は長命の妖だからこそ、妖同士の別れは辛いものなのかも。
 江戸時代は新年にみんな揃って年を取る、ってのは知ってたのですが、そうか、暦が安定してなかったからなのね、と今更ですが知りました。
 医師の火幻先生は新キャラ、ということでしょうか。西から来たどういう妖なのか、これから明かされていくんでしょうかね。
 まだまだ続きそうです。