読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

紙魚家崩壊~九つの謎 北村薫著 講談社 2006年

 連作物も含んだ短編集。

 『溶けていく』:美咲は短大卒業後、健康食品の会社に勤めて三ヶ月。一人暮らしを始めたこと、年の近い同僚がいないことなど、本人無自覚な所でストレスが溜まっていた。コンビニで見かけた漫画に店長そっくりの登場人物がいたことから、美咲の何か外れて行く。…
 …これ、何か別の本に収録されてなかったっけ。この後味の悪さ、読んだ覚えがある。

 『紙魚家崩壊』:蔵書家の夫婦・紙魚家を訪れた探偵と助手。その夜、密室で妻が殺される。その手には
  1+1=1  1÷2=0
のダイイングメッセージがあった。

 『死と密室』:老境に至ったミステリ作家たちが集って住んでいるアパート「幻の園」。そこで密室殺人が起こる。探偵と助手は、その証人として呼ばれる。

 『白い朝』:冬の朝、牛乳を取りに外に出る少女。トラックのバックミラーだけに霜がつかない理由とは。

 『サイコロ、コロコロ』:出版社でキノコの栽培についての雑誌を編集している千春さん。ある日出会った十面体のサイコロを持つ人の職業は。

 『おにぎり、ぎりぎり』:フィールドワークで岩手まで出かけた千春さん。水町先輩と稲村先生と、地元の大滝先生の家に一泊することに。翌朝、コンビニまで牛乳を買いに走ったのは千春だと、見事に当てた稲村先生の推理の根拠とは。…
 …みんなで徹夜して、食事の支度に立つのは女三人なんだなぁ。それを微笑ましく書いちゃうんだなぁ。薔薇のつまみのついたシュガーポットって、洗いにくそう。

 『蝶』:お見合いをセッティングした当日、男性も仲人役の女性も体調が悪くなる。女性当人と仲人役の女性の夫が二人で食事しながら他愛ないお喋りに興じる。…
 …気の所為かな、この二人息が合ってるような…。不倫とかにならなきゃいいけど。

 『俺の席』:同窓会の帰り、いつもは乗らない駅からの始発電車に乗った「俺」は、見知らぬ男から「そこは俺の席だ」と言われる。周りの乗客からも「あんたが悪い」と…。
 何だか眉村卓とか阿刀田高とか土屋隆夫とか、他の人の作品っぽい印象。

 『新釈おとぎばなし』:半分エッセイのような短編。イソップ寓話「アリとキリギリス」をホラー風に、「カチカチ山」をお婆さんの保険金殺人に仕立てる。
 …星新一もホームズの「赤毛連盟」や「シンデレラ」をパロディ化してたっけ。

 どこにも収録されてない…と言うか収録するのが難しい短編を集めた感じ。短い話ばかりで読み易かったです。