読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

芥子の花~金春屋ゴメス 西條奈加著 新潮社 2006年

 日本ファンタジーノベル大賞受賞作、『金春屋ゴメス』の第二弾。
 多分ネタばれになります、すみません;

 江戸国から外国へ、阿片の密輸出があるらしい。異国との処理を一手に引き受ける長崎奉行・金春屋ゴメスこと馬込寿々としては面目丸潰れ。辰次郎をはじめ、配下の小者を使ってあちこちを調べるが、芥子畑は見つからない。そんな折、偶然、緬甸(ビルマ)出の少年・麻衣椰(マイヤ)村のサクと知り合う。彼の村の宗教儀式には阿片が使われ、どうもその事が利用されたらしい。村人や村長と交流があった北町奉行・筧因幡守が捕縛されるが、ゴメスは密輸量と畑の広さの割が合わないと調査を続行。堅物の筧に恨みを持つ十万家に目星を付ける。筧により島流しにされた十万家の息子・保意を調べるため、流刑地に潜入する辰次郎達。十万家の婿・左内と、ゴメスの下で働く朱緒とはかつて許婚同士だった。…

 前回が吐根、今回が阿片。この著者、生薬好きだなぁ。
 すみません、「雛罌粟(ひなげし)」にはルビ振って下さい、そりゃすらすら読めなかった私が悪いんだけどさ。
 私の中ではゴメスのイメージ、『ワンピース』CP9のフクロウ。「じゃぱぱ~」って言ってそう。…いや、あくまで私の、ですから(笑)。
 デビュー作のシリーズ化、ってのはファンタジーノベル大賞では『しゃばけ』に続いて第二弾ですね。新潮社もライトノベル化が進んでる気がするのは私だけでしょうか。ただ、『しゃばけ』と違うのは、前作『金春屋ゴメス』はいかにも「続きがありますよ~」って含みがたっぷりだったこと。こう言う作りは、個人的にあまり好きではありません。それでも一作として出来上がっていた前作に比べ、今回はどうしても質が落ちてしまった感が否めない。後付け、後付けで積み上げられて行く説明、多いばかりで今イチ区別のつかないキャラクター。しかも今回は明らかに「次回に続く」。阿片の密輸先との関連だの国連だの、そんなに話広げて大丈夫? 何巻か先に大団円を迎えて「ああ、よく練られた、スケールの大きい話だった!」と感嘆できたらいいんだけど。…でもね~、今はね~。
 できればこの作者の別の話を読みたかった、ってのが正直な所です。


追伸:何かこの書き方だと散々かも、と思えて来てしまったので、『金春屋ゴメス』の感想をリンクします。過去の自分の記事を紹介するのは正直抵抗があるのですが、「江戸国」の設定とかはそちらに書いてあるし、『金春屋ゴメス』は面白い話だったので。→http://blogs.yahoo.co.jp/tt_tmk_tnk/36167288.html