読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ブードゥー・チャイルド 歌野晶午著 角川書店 1998年

 ぼく・日下部晃士(15歳)には前世の記憶がある。その世界でチャーリーと呼ばれていた幼い「ぼく」は、バロン・サムデイと言う悪魔に腹を刺されて死んでしまった。現世のぼくはそのことを誰にも信じて貰えず、こっそりHPを起ち上げて記憶を告白、情報を集めていた。
 ある日、父親・日下部正隆に堀井キンと名乗る女性から電話がかかる。父親が浮気していると思い込んだぼくは一人で堀井キンに会いに行くが、真夜中になっても待ち合わせ場所にそれらしい人はいなかった。帰宅後、朝帰りを咎められても、父の再婚相手である義理の母や姉に理由を話せない。家を飛び出しほとぼりが冷めた頃帰ってみると、母親が刺殺されていた。しかも顔は塩で覆われている。死体の側には前世の記憶にある悪魔の紋章が描いてあるメモがあった。警察に自分の前世の記憶を言う気になれず、ぼくと姉・麻衣は独自に調査を始める。小さい頃母を亡くした自分が預けられていた保育所、HPへの書き込みの確認。やがて父親まで意識不明で発見される。ラブホテルで頭を殴られたらしい。自分の出生に秘密があるらしい、と気付いたぼくは掲示板に誠意ある書き込みをしてくれた「ジュリアン」と会い、彼を探偵役として真相に迫る。…

 「葉桜の季節に君を想うということ」が面白かったので、歌野さんの他の作品も借りてみました。
 これ、結構早い段階で「出生の秘密」察しがついちゃったんですよね。読んだタイミングも悪かった、今ニュースでこの話題必ず取り上げられてるし。いや、そうじゃなくても多分気付いたと思うんですが、そうなると主人公の繰り出す見当違いの推測がもどかしいんですよね。もう読み飛ばしたくて仕方がない(笑)。ジュリアン、さっさと解答言ってやれや、てなもんで。メモ書きの謎解きとか細かい辻褄合わせはああ、こう来たかと納得しました。
 主人公の実母の仕事についての反省、「十年も続けていると、どうしても惰性で働いてしまうんですよね。心を込めなくても体が勝手に働いてくれるのです。そうするとつまらないミスが出がちなのですが、ところが慣れているのでうまくごまかせる。ごまかせるので、また惰性で働いてしまう」の言葉は胸に沁みました。そうなんですよね~。何か本編の内容とは違う所で考えさせられてしまいました(笑)。