読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

10センチの空 浅暮三文著 徳間書店 2003年

 ネタばれ少しあります、すみません;

 敏也は大学四回生。地方から出てきて東京の大学に通っている。彼は実は空が飛べる、但し10センチくらいだけ。却って何かに頭を押さえつけられているように感じて就職活動にも身が入らない夏、あるラジオ番組を引き金に、敏也は過去の自分へタイムスリップする。まだ幼い自分は田舎へ喘息の治療に来ていた少年から、空を飛ぶ力を貰っていた。毎晩のようにラジオを聞いて、敏也はタイムトラベルを繰り返し、何とか全てを思いだそうとする。ラジオの何が本当のきっかけなのか、何故彼の存在を忘れていたのか。夏休み帰郷して、敏也は少年がもうこの世にいないことを知る。敏也には少年に謝らねばならないこと、果たしていない約束があった。その真摯な態度に、初めは軽い調子で受け流していたラジオ番組のDJ・夏野めぐみも、真剣に相対するようになる。彼女にも、その少年は無関係ではなかった。やがて、敏也は自分の向かうべき道を見つける。…

 DJ・夏野めぐみの職業が駆け出しの声優。…何か感慨深いものが…(笑)。名前もひらがなでめぐみさん、だしねぇ。
 10センチしか飛べない、そのことに却ってコンプレックスを抱いている青年。その能力を分けてくれた少年との約束を破った後ろめたさから。それまでは嬉しかった筈なのに。
 何か、ラジオドラマにでもしたらいいような作品でした。