読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

夜市 恒川光太郎著 角川書店 2005年

 第12回日本ホラー小説大賞受賞作。中編二本収録。
 ネタばれあります、すみません;

 大学二年のいずみは、高校時代の同級生・祐司に「夜市」に誘われる。どんなものでも手に入る、と言われている夜市の売り子は人ではなかった。黄泉の河原で拾った石、なんでも斬れる剣、老化が早く進む薬etc.etc。ここに迷い込んだ者は、何か買い物するまで元の世界には戻れない。祐司はいずみに、かつて自分は「野球の才能」と引き替えに幼い弟を売ったことがあり、今日は弟を取り戻しに来た、人攫いへ自分を売って弟を連れて帰ってくれ、と頼む。嫌がるいずみを説き伏せて取引が成立した瞬間、〈なんでも斬れる剣〉を買った老紳士が人攫いを切り捨てる。その老紳士は、〈自由〉と引き替えに〈若さ〉を売った祐司の弟だった。…『夜市』
 秘密の道「古道」に入り込んでしまった「わたし」と友人のカズキ。古道は元々神々の通る道で、人間が入ってはいけない。途中で出会った青年レンにこの世界のルールを教わりながら、二人は出口を目指す。だが、レンと因縁のある男・コモリにカズキは殺されてしまう。「わたし」はカズキを生き返らせようと、古道の「雨の寺」に向かう。旅の途中、「わたし」はレンの生い立ちを聞く。それはレンとコモリとの関わりの記録でもあった。…『風の古道』

 民話をベースにしたような話。ロマンティックで哀しくて、後を引く。乙一のホラー作品からスプラッタ部分を少なくした感じ。…いや、あくまで私の個人的感想ですが。この人の次回作読んでみたいなぁ、と思いました。