読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

きみとぼくの壊れた世界 西尾維新著 講談社ノベルス 2003年

 「僕」は高校三年生櫃内様刻(ひつうちさまとき)。一つ違いの妹夜月(よるつき)には大甘で、お互いシャレにならないほど重度のシスコン&ブラコン。そんな自分を友人・剣道部主将迎槻箱彦(むかえづきはこひこ)とクラスメイト琴原りりすは心配してくれている。夜月にちょっかい掛けてきた剣道部の後輩・数沢六人(かずさわろくにん)を吊し上げた翌日、数沢は体育館倉庫で殺された。登校拒否一歩前進、登校して一日保健室で過ごす病院坂黒猫(びょういんざかくろねこ)が探偵役をかって出る。「分からないことがあるのなら死んだ方がマシだ」と明言しながら。…

 西尾維新作品は初めて読みました。…成る程、受ける訳だ。キャラの立ち方が尋常じゃない。ただ、好き嫌いははっきり別れるだろうなぁ。
 黒猫の言葉遣いは漫画『フルーツバスケット』の綾女兄さんか『京極堂シリーズ』の榎木津さんのよう。ページいっぱい詰まったセリフにはちょっと圧倒されました。喋りまくるのは語り手でもある主人公もそうなんですが(笑)。
「『本格』ってのは、要するに面白みのない推理小説のことを言うんだろ?」
「古典にもっと親しむべきだという意見はよく言われるものだが、そんなもの、たまには初代ファミコンで遊べと言われているみたいなものだからな」等々、名言(?)目白押し。
「論理を組み入れ過ぎてね、『そんなの、分かるわけないじゃない』ってレベルにまでなる、ほとんど病的な推理小説が、多くなってね」。…うん、私もそう思ってたよ(笑)。ちゃんとホームズ、クリスティ、ヴァン・ダインから入っていけた自分はラッキーだったと思ってる。それが面白すぎたので、私は現在の翻訳物や森博嗣氏以降の推理小説になかなか手が出ません(笑)。
 トリック自体は複雑なものじゃない。そこから一捻りして、動機とその後の行動で驚かせ、青春小説に仕立て上げてる。
 でも、検死解剖からの死因判明で犯人割り出されそうな気もするけど(笑)。