読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

クリムゾンの迷宮 貴志祐介著 角川書店 2003年

 初出は1999年。

 酷い乾きの中、目覚めたそこは紅い奇岩の連なる異様な世界だった。自分の傍らには僅かな食糧と水、そして携帯用のゲーム機。ゲーム機の電源を入れると文字が浮かび上がった。
 「火星の迷宮へようこそ」
 訳の判らないまま藤木芳彦はとりあえず示された第一ポイントに向かい、その途中、自分のゲーム機を壊してしまった女性・大友藍と出会う。一緒に着いた第一ポイントには合計九人の男女が揃い、ゲーム機に新たなメッセージが浮かぶ。
 「サバイバルのアイテムを求める者は東へ、
  護身用のアイテムを求める者は西へ、
  食糧を求める者は南へ、
  情報を求める者は北へ進め」
 藍のアドバイスもあって北を選んだ藤木。おかげでここがオーストラリアの国立公園内だと言うことや、食糧の手に入れ方、用意されたアイテム一覧等の知識を得る。次々に通るチェックポイントで得た新たな情報、「食屍鬼(グール)に気を付けろ」の文章。果たして食屍鬼とは、自分達にこんな事をさせる目的は何なのか。やがて藤木達を本当に食屍鬼が襲ってくる。…

 …面白かった…!
 リアルゲームブック。最初の選択だけで全てが決まってしまう、ってのがちょっと違うかな。アボリジニの知識をベースにしたサバイバル蘊蓄の文章が少々鬱陶しくもあったのですが、言い換えれば、もっと早く先を読みたかったと言うこと。また、そういう細かなフォローがなければ、元々が無茶な設定なだけにリアリティも出ないでしょうし。スプラッタホラーは苦手な筈なんですが、これは本当に面白かった。でもやっぱり気持ちは悪かったです(笑)。