読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

NAOKI URASAWA OFFICIAL GUIDE BOOK 浦沢直樹「描いて描いて描きまくる」 浦沢直樹/スタジオナッツ 小学館 2016年

秘蔵カット&14万字超インタビュー収録!

デビュー32年、単行本150冊、合計3万ページ、累計1億2662万部。
大ヒット作を次々と世に放ち、常に漫画界の最先端を走り続ける漫画家・浦沢直樹
初の本格個展開催を記念して、その半生と制作の舞台裏について、合計12時間38分、14万5千字にのぼる超ロングインタビューを敢行!

画集『漫勉』に未収録のイラストを中心に、制作の過程がわかる秘蔵カットや名場面などをB5サイズで多数収録。

漫画家・浦沢直樹とその作品の魅力を正しく理解するための、公式ガイドブック決定版!   (出版社紹介文より)

 『20世紀少年』『21世紀少年』を予約するに当たって「浦沢直樹」で検索掛けてたらヒットした一冊。「え、こんな本出てたんだ?」ってんで借りてみました。
 面白かった…! 
 予想以上のボリュームでまずびっくり。私は浦沢作品歴は確か友人からの勧めで『MASTERキートン』から入り、TVアニメの影響もあって『YAWARA!』へ、続いて『Happy!』と『MONSTER』『PLUTO』、今回改めて『20世紀少年』『21世紀少年』を読み通した、という流れです。『BILLY BAT』と『朝ドラ!』は読んでいません。このガイドブックに載っているのは『BILLY BAT』まで、しっかりネタバレされてるのでちょっとしまったかな、と言う所(苦笑;)。
 浦沢さんの子供の頃描いた漫画が載ってたりもするんですが、とにかく上手い。子供の頃見ていたアニメに対する視点も、作画監督にまで目が行っている。私も『リボンの騎士』見ていて、とにかく絵の上手い(というか好みの)回があるな、と言う所までは気が付きましたが、ローテーションまでは至らなかった。
 幼少期から過去作品の一つ一つについて、丁寧に自己解説というか思い出を語っているのですが、とにかく冷静で理性的。デビュー前から「食っていけるか」と言う視点が入る。それだけに、『MONSTER』終盤で精神が参って体調がボロボロになったほど入り込んだとか、印象的でした。浦沢さん、宮部みゆきさんと同い年、ってことは綾辻行人さんや小野不由美さんとも同い年なんですね。小野さんもスティーブン・キングを落とすために『屍鬼』書いてらっしゃいましたっけ。
 『20世紀少年』ラスト、ケンヂがフェスで「スーダララ グータララ」を歌わなかった理由が、後々映画用として再構築した時に明確に判った、というのも。物語が降って来る、というのを経験されたんですね。
 各編集さんとの関係も、明るく語ってらっしゃるけど、色々あったんだろうなぁと邪推してしまう。長崎尚志という人は、浦沢さん以外でも、こんな打ちあい響きあうような打ち合わせができたんだろうか。
 インタビュアーさんも読み込みが凄まじくて、『Happy!』が『YAWARA!』のカウンターだとか、頭いい人なんだろうなぁ、としみじみ思いました。もしかして、『ぽかぽか』浦沢さん出演時に、後ろで手伝ってた人かしら(笑)。
 『漫勉』で新しい手法を知って、「ヨハンをこれで描いてたら」とか仰ってるのを見ると、この飽くなき探求心は何、しかも楽しそう、と舌を巻いてしまう。
 いやもう、天才っぷりを堪能出来て嬉しかったです。