読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

契り橋 あきない世傳 金と銀 特別巻㊤ 高田郁著 角川春樹事務所 2023年

 シリーズスピンオフ。この作品をお好きな方は、この記事を読まない方がいいと思います、すみません;
 ネタばれあります。

 第一話 風を抱く
 大坂五鈴屋を出奔した惣次は、両替商井筒屋に客あしらいを見込まれ、婿養子に望まれる。娘の名は雪乃、結婚当初は魯鈍に見えたが、一緒に暮らしてみると心配りの行き届いた優しい女であった。打算で結婚した惣次の心を絆していくほどに。彼女は生まれつき色の区別がつかなかった。

 第二話 はた結び
 お梅の代わりの奉公人を探して口入屋を訪れた佐助は、そこにかつての想い人さよとそっくりの女性を見出して驚く。果たして、彼女はさよの年の離れた妹ちかだった。さよの死を聞いて、佐助の心は乱れ、またちかにも心惹かれていく。糸くずを大切にとって置いて、布に織り上げるような彼女に。

 第三話 百代の過客
 お竹は70歳を超えて老眼に悩み、己の来た道、行く末をつい考えてしまう日々。そんな折、やはり同年代の近江屋支配人 久助が大坂への仕舞登りをする、と言ってきた。一緒にどうかと誘われて、お竹は即答できない。一方、柳井医師から預かった奉公人大七は、白鳳医師から医師の道を志さないかとスカウトを受ける。 

 第四話 契り橋
 紋羽織販売も軌道に乗り、大坂の五鈴屋九代目に賢輔を、といよいよ名前が上がり始めた。大川端に新しい橋をという試みも、公儀ではなく町を主体で動き始めた。全てが順調に思われたある日、暴風で賢輔は大怪我を負い、幸は大きく取り乱す。その様子は周囲にも、幸の想いを知らせることになった。…

 第一話『風を抱く』以外は後日談。スピンオフ、と言いながら続編の様相もあり。
 この作品はいつも母が先に読み、私はその後で読むのですが、今回何だか時間がかかっている様子でして。「何だか進まない」との言葉に、どういうことだろう、と思ってたんですが、私も読み始めてその気持ちが分かりました。…今イチ惹きがない;
 いや、こういうのが読みたいんじゃないんだよなぁ。特にラスト、『契り橋』には驚きました。…賢輔と幸、くっついちゃうの? それは違うんじゃない?? 賢輔が叶わない想いを抱えたまま、主人に仕えるのが大きな醍醐味なんでは…。幸も承諾するのね、妹とのことはもういいのかしら、何かの拍子で結がこのこと知ったら、きっとブチ切れて二度と関係修復できないよ。
 とは言え、二人は夫婦になる様子。賢輔の、幸の中の智蔵やお勁ごと…という台詞は、『めぞん一刻』を思い出しました。二人で大坂に帰るのかな。そしたらお竹さんはどうするんだ?
 下巻はこの続きなのか、また別の話が重ねられるのか。次巻、最終巻です。