読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

サピエンス全史(上)――文明の構造と人類の幸福 ユヴァル・ノア・ハラリ著/柴田裕之訳 河出書房新社 2016年

アフリカでほそぼそと暮らしていたホモ・サピエンスが、食物連鎖の頂点に立ち、文明を築いたのはなぜか。
その答えを解く鍵は「虚構」にある。
我々が当たり前のように信じている国家や国民、企業や法律、さらには人権や平等といった考えまでもが虚構であり、虚構こそが見知らぬ人間同士が協力することを可能にしたのだ。
やがて人類は農耕を始めたが、農業革命は狩猟採集社会よりも苛酷な生活を人類に強いた、史上最大の詐欺だった。
そして歴史は統一へと向かう。その原動力の一つが、究極の虚構であり、最も効率的な相互信頼の制度である貨幣だった。
なぜ我々はこのような世界に生きているのかを読み解く、記念碑的名著!
                      (表紙折り返し紹介文より)

 『アメトーーク!』読書芸人の回でメイプル超合金カズレーザーさんが紹介されていた本(←いつのことだよ)。カズさんに紹介した東野幸治さんは「面白過ぎて上巻しか読んでない」と豪語されてましたが、その後下巻読まれたのかしら(笑)、図書館の予約人数が漸くひとケタを切ったので借りてみました。
 面白かったです。翻訳独特の文章に「おお」と思いつつ(笑)、慣れれば結構一気でした。語り口が妙にユーモラス、例えでハリー・ポッターが出てきたりして、ハリポタって万国共通なんだなぁ、と感心したり。集団の大きさの限界が150人って、『Dr.STONE』でも言ってましたっけ。 
 それにしても、ホモ・サピエンス。他の動物には災厄でしかないじゃないか…! この本が話題になった当時、NHKとかでも特集されてましたが、その時の番組はもうちょっとソフトで希望があるラストになっていたような…。状況証拠しかないものの、他の人類も動物も、その地にホモ・サピエンスが現れたら滅んでいる。この種の存在自体、他の動植物を滅ぼす元凶のように思えてくる、もう原罪じゃん。
 農業革命を「詐欺」と言い切っているのも目からウロコ!でした。労働時間は長くなるし食べ物が偏ることで栄養バランスは崩れるし、人口が密集することで感染症も広がるしって、言われてみればそうなのかもだけど。各地での家畜の扱いの酷さには胸が痛い。近々に『銀の匙』を読んでたことも大きかったなぁ。
 宗教を「虚構」と断じる強さ。作者はイスラエル歴史学者、ってそんなこと言い切って大丈夫なの!?とちょっと心配になりました。これは私の偏見が出てるのかな(苦笑;)。
 さて、東野さんは読まなかった下巻はどんなことが書いてあるのか、楽しみです。