読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

なんとかしなくちゃ。青雲編 1970-1993 恩田陸著 文藝春秋 2022年

 梯結子は1970年生まれ。大阪の海産物問屋の息子と東京赤坂の老舗和菓子屋の娘の間に、四人兄弟の末っ子として育った。理系で京都の大学に行った長兄 渡、要領がよく人好きのする次兄 豊、可愛いものが好きでセンスのいい華やか美人の姉 友子。結子自身は 一見地味に見えるものの、どこか「頼りになりそう」なオーラを湛えている。
 人生のテーマは「融通無碍」、『エルマーの冒険』に目を開かれ、映画『大脱走』の「調達屋」ジェームズ・ガーナーに心ときめかせた彼女は、幼少のみぎりから様々な困りごとを工夫を凝らして解決してきた。近所の公園の砂場遊びの陣取り合戦から始まって、小学校のお誕生日会のルール設定、中学では天パの友人ゆかりの生徒会長出馬につきあって校則改正と運動部の練習場所確保問題解決に励んだ。
 都立高校では〇塚ばりに派手な美形の先輩 三ツ橋歌子に何故か見込まれ、新聞部と演劇部と占い研究会に入ることに。自分で雇ったフランス語家庭教師からの課題と、その月謝を払うためのバイトに忙しいというのに、家庭の夕食バラバラ問題に頭を悩ませたり、新聞部へ広告を寄せてくれる町中華屋に 広告費への対価を考えたり。
 W大に進んだ結子はひょんなことから城郭愛好研究会に所属、城攻めと籠城あれこれの知識を得た。部費稼ぎのバイト ポスティングで工夫を凝らし、文化祭では城郭愛好研究会制作所有の城ジオラマと映画研究会とのコラボを成功させる。
 総合商社に勤めることになった結子、果たしてその活躍ぶりは。…

 たーのーしーいー!!!
 いつまでも読んでいたい!
 恩田さん本人が所々顔を覗かせての語り口、登場人物と年齢が近いこともプラスなのかな、まぁ楽しい。
 登場人物がみんな頭がよくてそれが嫌味じゃなく魅力的、ってのは恩田さんの得意分野ですよね、前半で描かれる小中高の学生時代のエピソードは、『六番目の小夜子』から続く恩田さんの真骨頂、あるあるな部分も含んでいて思わずにやにやしてしまう。ええ、私も『くまのプーさん』のペーパーバック持ってますとも(哀;)。個性の強い面々も登場、結子本人は関りを嫌がってましたが歌子なんかいかにもクセが強い(笑)。
 本編はこれからなんですよね、武内アドリーヌだのモニク・レネだののフランス語の師匠はどう関わって来るか、城壁愛好研究会の先輩方は、司法試験に受かったゆかりは、大ヒット漫画家になった真弓ちゃんも出てくるんだろうか、アニメとかコラボし易そうだし、それが主流になるのはここ十数年のことだし。
 1970年生まれなら結子はまだ60歳にもなってないけどそれでも「女の一生」な話になるんだろうか、と少々疑問も抱きつつ、期待の方がずっと強い(笑)。
 ええ、恩田さんの作品に恋バナなんて望みませんとも、続きを楽しみにしています!