読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

宝石商リチャード氏の謎鑑定 少年と螺鈿箪笥 辻村七子著 集英社オレンジ文庫 2022年

 シリーズ12冊目、第三部開幕。
 ネタばれになるのかな、すみません;

 case,1 少年と螺鈿細工
 中学一年生の霧江みのるは、ジャングル屋敷と呼ばれる空き洋館の隣の、小さな家に住んでいる。母は病がちで みのるが中心になって生活をやりくりする日々、ある日つい絆創膏を万引きしようとしてしまう。だがバレる寸前、みのるは一人の青年に救われた。彼は中田正義と名乗り、みのるに名刺を、螺鈿細工の入った名刺入れごと渡してきた。以降、正義はみのるの生活に大きく関わって来る。
 「支援」を受けて入院することになった母、その間みのるの後見人として、中田正義が立候補したらしい。一緒に暮らす場所だと案内された豪華なマンションにあっけにとられ、手早く作られたパングラタンに戸惑い、とても理解が追い付かない状況。夜中、ジャングル屋敷に逃げ込んだみのるは、無人の筈だったそこで、美しい金髪の自称幽霊に出会う。彼はみのるに、ロイヤルミルクティーを振舞った。

 case,2 友達とブレスレット
 クラスメイトに絡まれて、みのるは殴り合いの喧嘩をした。保護者として呼び出された正義は、みのるを叱ることなく温泉施設に連れ出す。正義の人柄に触れたみのるは、失くしてしまった名刺入れを探すため、ジャングル屋敷を訪う。

 case,3 女の子とダイヤモンド
 みのるの家を掃除した帰り、正義に緊急の仕事が入った。食べ放題の鶏の唐揚げにつられて正義の職場に行くと、そこはパーティー会場で、モデルとして働く同級生 志岐真鈴の姿もあった。正義はゲストシンガーの代役として、会場で歌い踊り、出席者を魅了する。

 case,4 少年と螺鈿細工と真実
 正義が兄だと知って、悩むみのる。名刺入れを探しに行ったジャングル屋敷で、みのるはまた幽霊と会い、みのるの家とジャングル屋敷の住人との関係を語る。正義への対処の仕方についても。

 case,4.5 大人たちと名刺入れ
 リチャードがジャングル屋敷の庭で捜し物をしている。正義は捜し物が何か教えて貰えないまま、捜し物を手伝う。

 extra case. その頃のエトランジェ
 銀座の宝石店『エトランジェ』にて、オクタヴィアとヴィンセントがスイーツを頬張っている。日本観光もする予定らしい。…

 どうもホラーだったり重い話だったりを読む気分ではなかったらしく、そこに来たこのシリーズ、ぐんぐん読んでしまいました。ハートフルっていいなぁ(笑)。
 そう来たか、の第三部。今までのお話しの大半が 正義の視点で語られていたので、薄々察するしかなかったのですが、正義がとんでもないハイスペック男子であることが明かされる展開。しかも歌って踊れるの?? 13歳の女の子のハートを一瞬で射抜くほど達者に??(笑)
 今までのシリーズを読んでいれば屋敷の幽霊の正体は明らかで、そのやりとりも微笑ましい限り。「ええかっこしい」なのはリチャードもじゃん、と case.4のラスト近辺で思わずニヤついてしまいました。みのる少年の造形が あまりにも幼過ぎないか?とも思いましたが、そのあたりの鈍さはDNAなのかなぁ。とすると、父親の血筋になりそうなんですが(苦笑;)。
 みのる君との関りは、母親が復帰してくるまでなのか、成人するまでになるのか。展開でどうとでもなりそうですね。
 リチャードの声が櫻井孝宏さんの声で聞こえて来て、私の中でアニメの影響大きかったんだな、と改めて思った一作でした。