読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

風の海 迷宮の岸 上下 十二国記 小野不由美著 講談社ホワイトハート 1993年

 麒麟は王を選び、王にお仕えする神獣。金の果実として蓬山の木に実り、親はいない。かわりに、女怪はその実が孵る日までの十月を、かたときも離れず、守りつづけるはずだった。しかし、大地が鳴り、大気が歪む蝕が起きたとき、金の実は流されてしまった!
 それから十年。探しあてた実は、蓬莱で”人”として生まれ育っていた。戴国の王を選ぶため連れ戻されたが、麒麟に姿を変える術さえ持たぬ泰麒――幼い少年の葛藤が始まる!

 とてつもない妖と対峙した泰麒は、身動ぎもせず、その双眸を睨み続けた。長い時間が過ぎ、やがて発した言葉は「使令に下れ」。
 異界(ここ)に連れてこられても、転変もできず、使令も持たなかった泰麒は、このとき、まさに己れが「麒麟」であることを悟った!
 しかし、ただ「離れたくない」との理由だけで、泰麒は驍宗を王として選んでしまう。天啓はないままなのに、それに対する天罰もなく、泰麒は慄く。…
       (折り返しの紹介文に付け足しました)

 再再読。『白銀の墟 玄の月』を読む前に読み返したので、三回目になるのかな。でも『魔性の子』の後で読んだことはなかったかも、と今回思いました。
 こんなに慕っていた母親を、使令は、引いては泰麒は殺してしまうんだなぁ。
 この作品は、私の推しのパターンを自覚する切っ掛けになりました。自分に自信のないキャラクターが、自覚している能力以上のプレッシャーを掛けられて、圧し潰されそうになりながらも足震わせて踏ん張る。 周囲の人もそんな主人公をバックアップ、「大丈夫、君ならできるよ」と全面協力する、と言う…。そういえば私、ヤンが死んだ後のユリアン(@『銀河英雄伝説』)妙に好きだったなぁ、烈火の遼(@『鎧伝サムライトルーパー』)とか…て並べて共通点に気が付きました。近年では勝生勇利選手(@『ユーリ!!! on ICE)が加わりました(笑)。
 今回読み返して、蓬山の情景が文章だけでは全然思い浮かばず(…;)、「初読の時、私どう解釈してたんだろう」と頭を抱えましたよ(苦笑;)。今となると『魔性の子』でギアナ高地のロライマの名前が参考文献的に出てるし、何よりアニメも見てるしで、蓬山の映像は確立されまくってしまってるんですが;
 アニメでは李斎を進藤尚美さんが演じてらして、笑みを含んで唄うような台詞「公は李斎が舞い上がるようなことを言って下さる」は、未だに耳に残っています。進藤さんの真骨頂はこういう「威厳と品性に満ちたかっこいい女」で出る、という確信はずっと変わりません。
 そして、泰麒に引き合わせるのは景麒より延麒の方がよかったんじゃないか、という考えも変わりませんでした。私は景麒に厳しいようです(笑)。