シリーズ8冊目。ネタばれあります、すみません;
いがみ合う王子たちを馬上槍試合をもって仲裁したコル。ウィンフィール王国内での争いが終息したのも束の間、コルたちの前に使者が現れる。使者の目的は八十年ぶりに開催される公会議に、“薄明の枢機卿”の出席を請うものだった。
公会議開催の真偽確認をカナンに任せ、コルとミューリは聖典印刷の計画を進めるべく、資材の確保と新大陸の情報を求めて大学都市アケントへ向かう。
そこはかつてコルが放浪学生として過ごした街。だが、その街を二分する大騒ぎが勃発し、その中心には"賢者の狼"と名乗る人物までいた。どういうつもりなのかと身構えて対面した”賢者の狼”ルティアは、本当にミューリと同じ狼の眷属だった。遠い森で領主夫妻に可愛がられ、情愛の温かさを味わったルティアは、相続問題に悩むことになった領主の妻を弁護しようと、アケントへ教会法学を学びに来たという。
アケントはコルのいた頃から変わらず、収賄が横行して裕福な学生が金で学位を買い、教授は私腹を肥やし、貧乏学生は写本作業等々で働かされて搾取されてる悪循環に陥っていた。だが長く続くこの問題は、今や”薄明の枢機卿”と呼ばれるコルが現れたことによって解決の道筋がつく。教会の中枢と直接かかわりを持つカナンが手を差し伸べ、書籍商ル・ロワが動く。みるみる片が付くと思われた矢先、コルとカナンが暴徒に襲われた。
咄嗟の機転で難は逃れたものの、コルはその襲撃に違和感を抱く。もしかしてミューリは知っていたのではないか、ルティアも関わっているのではないか。コルはミューリが共鳴してしまったルティアの状況に思い至る。… (見返しの紹介文に付け足しました)
この大学都市のモデルはフランスかイタリアかドイツか、二人の旅は大陸に渡りました。ホロやミューリの仲間ルティアが新登場、なかなか切ないキャラクターです。領主の奥さんって何歳だ、今から勉強して間に合うのか、それより少しでも長く傍にいる方がいいのでは、とは読みながら思ってたんだよなぁ。奥さんの最期を看取れてたらいいんだけど。
コルがルティアに提示した新しい生き甲斐ってのは、これで代わりになるのかしら、と首を傾げてしまいました。ベクトルが違うような気がするんですが、う~ん。
さて、次は公会議になるのか、それはまだ先なのか。再アニメ化もされるそうで、楽しみです。前のアニメはほぼ見てないんですが、続きからなのか改めて最初からなのか。
次巻に続きます。