読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

月の影 影の海 上下 十二国記 小野不由美著 講談社X文庫ホワイトハート 1992年 

「あなたは私の主(あるじ)、お迎えにまいりました」
 学校に、ケイキと名のる男が突然、現れて、陽子を連れ去った。海に映る月の光をくぐりぬけ、辿りついたところは、地図にない国。そして、ここで陽子を待ちうけていたのは、のどかな風景とは裏腹に、闇から躍りでる異形の獣たちとの戦いだった。
「なぜ、あたしをここへ連れてきたの?」
 陽子を異界へ喚んだのは誰なのか? 帰るあてもない陽子の孤独な旅が、いま始まる!

「私を、異界(ここ)へ喚んだのは、誰⁉」
 海に映る美しい月影をぬけ、ここへ連れてこられた陽子に、妖魔は容赦なく襲いかかり、人もまた、陽子を裏切る。試練に身も心も傷つく陽子を救ったのは、信じることを教えてくれた「ただひとり」の友――楽俊。ひとりぼっちの旅は、ふたりになった。しかし、”なぜ、陽子が異界に喚ばれたのか? なぜ、命を狙われるのか?”その真相が明かされたとき、陽子は、とてつもない決断を迫られる!
                    (折り返し紹介文より)

 再読。ガイドブックを読んで、読み返したくなりました。

 初読は多分1995年頃。当時、むちゃくちゃ衝撃を受けて友人連中に薦めまくりましたっけ。なのに、きっちり読み返したことはなかったかもしれない(←おい;)。アニメ化された時に拾い読みしたくらいかなぁ。何しろ、書かれていたエピソードが我が身に痛くて痛くて。大人になってから出会ったお話でよかった、多感な高校生の頃とかじゃなくてよかった、その頃に読んでたらきっと「心が痛い」どころか心が抉られてた、と本気で思いましたもの。その分、記憶にも残っていたので、読み返す必要をあまり感じなかったのかな。
 横溝正史氏がエッセイに「『何回も読み返しました』と言われると嬉しいけど複雑」「あまりに衝撃を受けた作品は細かい所まで覚えてるものだから」と書かれていた覚えがあるのですが、これもその一種と言うことで。(←おい)

 再読して思ったこと。
 巧国の農民が大概読み書きできるということは、教育制度がある程度 整ってるんだろうな、ということは塙王はちゃんと国を治めようとしてたんだよなぁ。
 泰麒の名前がもう出てたのね、というのも改めて気づいたこと。シリーズ四作目の『風の万里 黎明の空』でその記述があったのは覚えてたんですが。
 記憶にあったより、日本の描写が少なかったのも意外でした。現実世界で陽子がどう思われていたか、両親がそれを誤解していく様にもっとページが割かれていたような気がしてたんですが、思ったよりなかった。私自身に痛く響いた挿話だったから印象的だったんでしょうね。
 お父さんが封建的な人だったのは覚えてたんですが、酷い人だったなぁ。愛情を注いでくれているお母さんに、せめて別れを告げたかったというのは改めて胸に響きました。ドラクエⅢやった時に、私 同じこと思ったよ(←一緒にするな)。
 冷静に読めた分、緻密に積み上げられた構成をいっそう味わえた感じです。初読は本当に感情的に振り回されたからなぁ。
 そして、やっぱり、景麒は好きになれんとしみじみ思いました(苦笑;)。