読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

あきない世傳 金と銀 九 淵泉篇 高田郁著 2020年 角川春樹事務所

 シリーズ9作目。
 ネタばれあります、すみません;

 結はようやく出来上がった干支文字の伊勢型紙を持ち出して出奔し、音羽屋に駆け込んだ。幸の必死の説得も結には届かず、結は音羽屋の後添いに納まり、日本橋で呉服屋を開店する。彫師が型紙にこっそり彫り込んだ五鈴屋の屋号が最悪の事態を救い、その型紙で摺った小紋は五鈴屋の宣伝にもなった。
 飛び込みで来た侍に縮緬を売ったことから、五鈴屋は他店の顧客を奪い取ったと訴えられ、呉服仲間から外されてしまう。悪意を持って五鈴屋を陥れようとしている存在があることを、幸は惣次から示唆される。太物しか取り扱えなくなって売り上げも落ち、途方に暮れる五鈴屋。だが兄の友人だったという儒学者 弥右衛門と再会し、難事こそ新たな希望を、と前を向く決意をする。
 長らく延び延びになっていた大坂本家への帰坂、幸は懐かしい人々と再会する。小間物商 紅屋へ出戻った菊栄は、その商才故に兄に疎まれている現状を話し、新しい意匠の簪を武器に江戸へ出る気でいることを幸に伝える。
 江戸へ戻った幸は、芝居小屋の楽屋裏で着る浴衣の注文を受ける。本来下着であるものを、そうでないように見せる工夫。何回もの使用に耐えるべく、藍の引き染めではなく、しっかり染まる浸け染めで、しかも模様がくっきりと鮮やかに見えるよう。染師の力造が、木綿の両面の型紙に寸分狂わず糊を置く技術を会得する。…

 結さんはとうとう戻ってきませんでした。今まで身に着けたやり方、工夫をそっくり真似て、幸の最大のライバルとして立ちはだかります。和解は、いずれするのかな、どうなんでしょう。音羽屋は何であんなに五鈴屋を目の敵にするのか。
 気になるのは菊栄さんですね、いずれタッグを組むのかしら。アクセサリーと併せて着る物を売る、ってのは十分あり得ますものね、いわゆるトータルコーディネート。西條奈加さんの『恋細工』、職人とカリスマ販売員の話がとにかく面白かったので、あんな風になるのかな、と今から楽しみです。
 次巻に続きます。