ここまで平家側に寄り添った『平家物語』があったかなぁ。…と言えるほど他の関連作品を知っている訳ではありませんが。でも、維盛を臆病者とせず、繊細として描いたのは驚きでした。栄華を極めた故に、逆境に弱かった平家の子供たち。現代の、平和に慣れた目から見れば、確かにこちらの方が心が近い。
語り部の少女びわの「死者が見える」設定は、古川日出夫さんの別の作品『平家物語 犬王の巻』に倣ったのかしら、と思ったり。確かに、「語る」人物が必要だもんなぁ。
3ヵ月で語り切るにはどうも時間が足りなかったような、木曾義仲とかもうちょっと描き込んでもよかったんでは、この後の源氏の行く末は、とも思ったんですが、でも「平家」物語ですものね。最後、資盛は生き残ったとみていいんでしょうか。残党狩りに怯える日々が続くのかもしれませんが。
さて、『犬王』も映画になるようで。大河も相まって、鎌倉ブームですね。どれも色々な解釈に満ちて面白いです。