読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

誰がネロとパトラッシュを殺すのか 日本人が知らないフランダースの犬 アン・ヴァン・ディーンデレン ディディエ・ヴォルカールト編著 塩崎香織 訳 岩波書店 2015年

 イギリス人作家が、なぜフランダース地方を舞台に悲しい物語を書いたのか。本国ベルギーでは、なぜ人々に受け入れられなかったのか。アメリカで作られた5本の映画は、なぜハッピーエンドにに書き換えられたのか。日本にはどのように紹介され、1975年のテレビシリーズはなぜ大成功したのか。そして、悲しいストーリーの『フランダースの犬』が今も日本で愛され続けている理由とは。 (折り返し紹介文より)

 恩田陸さんのエッセイで名前を見かけて、手に取った一冊。
 紹介文にあるように「なぜ」が解明されるというより、「こういう事情で」の説明がされてる感じ。…あれ、解明されてるってことか(苦笑;)。
 ウィーダ(今で言うハーレクイーンロマンス作家みたいな感じだったのかしら? 若くして大金持ちになってから醜聞での転落、犬を友とした晩年、となかなかに波乱の人生;)の原作は、一応読んだことがありました。中学生の頃だったんじゃないかな、内容というよりその短さに驚いた覚えがあります。イギリス人だったとは知りませんでした。多分そのせいもあって、フランダースと言いながらフランダースの描写ではなく、だからフランダースの人も愛着が持てず、スルー状態。それがアメリカ映画でも日本のアニメでも。「日本の作品と言いながら中国を舞台にしている感じ」ってのは物凄く分かり易い例えだな、と思いました。ベルギーが観光産業として今イチ乗り気にならないのもむべなるかな、比較例の『赤毛のアン』はプリンスエドワード島に住んでるモンゴメリーが「世界で一番美しい場所」として、愛着持って作品の舞台にしてたもんなぁ。「聖地巡礼」って概念も、外国の人にはあまりないみたいだし。
 アニメに関しては、大人になってからもう一度見返す機会がありました。ネロの救い道をじっくりと一つ一つ潰していく展開に、やりきれなくなった覚えがあります。カルピスの当時の社長がキリスト教信者で、布教の意味合いもあった、ってのは目から鱗!でした。
 主題歌の裏話もありましたね、本当にアントワープ近郊の子供たちに唄って貰ったんだとか。ええ、私もあのパート歌えますよ、カラオケで歌うと爆笑必至です(笑)。
 アメリカ映画でハッピーエンドになったのは、全然疑問に思いませんでしたけど。そりゃそうでしょうよ、人魚姫をハッピーエンドにするお国柄なんですから。