読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

曲亭の家 西條奈加著 角川春樹事務所 2021年

直木賞受賞後第一作。書き下ろし長篇。

神田の医者の娘として自由な家風で育ったお路(みち)が嫁いだのは、稀代の人気戯作者・曲亭(滝沢)馬琴の一人息子。横暴な舅の馬琴に、病持ち・癇癪持ちの夫と姑。過酷な環境の中、大きな苦労を背負ったお路だが、3人の子どもにも恵まれ、時には心折れることもありながらも夫亡き後には馬琴の執筆を助け力強く己の人生を切りひらいていく。
“人間”と“人生”を優しく深く見つめ、作家の業と、人の心の機微を鮮やかに描く傑作長篇。             (出版社紹介文より)

 曲亭馬琴が晩年『八犬伝』を口述していた、息子の嫁が筆記人だった、っていうのを私が知ったのは、多分田辺聖子さんのエッセイから。ただ、ブームは終わって売り上げはかなり落ちていた、みたいなことも書いてあった気がしてたのですが、そうでもなかったのかな。
 いやもう、こんな家に嫁ぐのはイヤだ―――!!!でしたね(笑)。お路さん、よく我慢できたなぁ; 生きがいというか、自分が認められる場所がここだった、と納得してらっしゃるんですが、それにしても…; 才能があるからって許されると思うなよ!とむかつくことしきりでした(苦笑;)。
 男尊女卑についてもテーマの一端だと思うのですが、当時の風潮からしたら、それを不満に思うこともないほど当たり前、常識だったのではないかなぁと首を傾げました。お路自身の「女であることを言い訳にして、正面から向き合おうとしなかった」姿勢を反省するくだりは、現代でこそのテーマではないか、と。ただ、個人的には、それをうまく使うことも生き抜く武器の一つではないかとも思うのですが。

 『南総里見八犬伝』は、学生の頃大学の図書館で現代語訳版を借りて途中まで読みました。無茶苦茶面白かったのですが、途中で出版自体がされなくなってしまったそうで、だから私の中では犬坂毛野は行方不明のままだし、犬江新兵衛はまだ赤ちゃんです。そんな中でも、確かに女性の扱い酷かった、ばったばったと死んでいってましたねぇ(笑)。また改めて読んでみようかな、でもすっかり内容忘れてるから、頭からだよなぁ; 学生時代の、暇も根性もある時にしか読み難い本ってあるよなぁ;;