読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

折れた竜骨 米澤穂信著 東京創元社 2010年

 ネタばれになってるかも、すみません;

ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。
自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、「走狗(ミニオン)」候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年――そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?
現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場! (表紙折り返しより)

 西洋時代ミステリかと思いきや、魔術はあるわアンデッドはいるわ鉄人28号的なものも出て来て、内容も殺人に密室にゾンビ(ではないけど)襲来と盛りだくさん。いやこれファンタジーだよね? でもそのルールを設定した上で、しっかり本格だったのでしたよ。伏線敷かれてたなぁ。
 あとがきに曰く、当初は異世界ファンタジーの設定だったとか。…既に異世界な気もしないではないけど、実に虚を混じらせるという時点で「異世界ファンタジー」ではないのかな。アンデッドの牢獄脱出法とか、え、自分で袈裟懸け?? できる??? って感じでしたけど。

 新本格が発展していわゆるトンデモ系も増えて、で「…ちょっと違ってきたかなぁ」とミステリから離れ気味になってた所もあったんですが、昨今になってまた変わって来た気がします。トンデモを盛り込む技が洗練されてきたような。これは昨年放送されたアニメ『イド:インヴェイデッド』(脚本 舞城王太郎)でしみじみ思ったのでしたよ。もしかしたら私が慣れて来ただけかもしれませんが。…って『折れた竜骨』は10年以上前の作品ですね、今更すみません;
 続編がいかにもできそうな終わり方でしたが、書かれないのかな。アミーナの行く末は知りたいですねぇ。

 はっっっ‼ そう言えばアシモフのSFミステリシリーズは、トンデモ設定の元祖じゃないか、私。