読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

Arknoah(アークノア) 1 僕のつくった怪物  乙一著╱toi8イラスト 集英社 2013年

 乙一が描く異世界ファンタジー、シリーズ一作目。
 ネタばれあります、すみません;

 父親を亡くしたアールとグレイの兄弟は、ある日、父のクローゼットに隠されていた絵本「アークノア」を見つける。いじめっ子に追われているうち、二人はその本の中に迷い込んでしまった。
 部屋がいくつもいくつも連なった世界。部屋の中には森があったり、滝があったり、火山があったり、でも空のない世界。
 本の中の住人は年を取ることもなく、時間の概念がない。たとえ死んでも翌朝には生き返る。ただし、自分が死んだ日の記憶はない。そして、甦れなくなる条件がただ一つ、その世界で殺人を犯してしまうこと。その法則から解放された人物が一人、それがリゼ・リプトンと言う名の少女。ピーナッツバターが大好きな、『ハンマーガール』と徒名される存在。アールとグレイが元の世界に帰るには、彼らがこの世界に入り込んだと同時にできたという怪物を殺さなければならない。この世界を破壊するためだけに存在する怪物は侵入者と繋がっていて、怪物がいる限りアールとグレイは元の世界には戻れないという。果たして、【森の大部屋】では巨大な大猿が、別の部屋では大蛇が産まれていた。アールとグレイはリゼたちと共に、怪物退治に乗り出す。
 まず、グレイの化身の大猿を倒そう。巨大シャンデリアを猿の上に落とすため、アールは仲間と気球に乗って天井に向かう。いよいよ作戦開始、という段になって、リゼが行方不明になってしまった。どうやら天井から突き落とされたらしい。翌朝、リゼは地上で、前日の記憶がないまま発見された。
 仲間の中に敵がいる。不安を抱えたまま、アールたちは大猿退治の計画を実行しはじめる。…

 
 面白かったです。
 よくもまぁ、こんなインドアで不可思議な世界を思いつくとも!
 この世界にしても生き物にしても、もう乙さんの本領発揮ですね。
 リゼを殺した犯人は誰か、いかにもミスリードなこの人ではないだろう、とは察しがつくんですが、でも正体が明かされるまで分かりませんでした。
 グレイってのがまぁ可愛げのない性格で(苦笑;)。後々、捻くれた原因というか彼の考えがちょっと語られるんですが、それでもやっぱり可愛げがない(笑)。でも出てきた怪物を見ると、弟の方が強くても単純で、兄貴の方が複雑な性格してるみたいなんだよなぁ。大蛇がリゼを「毎日殺し続ける」って言った時にはぞっとしましたが、同時に「そんな方法があったか」と感心もしてしまいましたよ。
 アークノアに新たな怪物が出現した所で、一巻目は終わります。こういう続け方があったか、ってのにもこっそり感心しました。どう展開させるつもりなのか、楽しみです。