読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

庵野秀明のフタリシバイ ~孤掌鳴難~ 庵野秀明著 木俣冬企画・構成 徳間書店 2001年

 '97年夏に公開された劇場版「新世紀エヴァンゲリオン」以降「ラブ&ポップ」「彼氏彼女の事情」「式日」までを、鴻上尚史野田秀樹ら演劇人を中心に10人の表現者たちと語り尽した対談集。
 これは '97~'01の庵野秀明の心の記録でもある。 (出版社紹介文より)

 対談相手は鴻上尚史野田秀樹幾原邦彦ケラリーノ・サンドロヴィッチ松尾スズキいのうえひでのり常盤響田口ランディ林原めぐみ、Dr.エクアドル
 あとがき代わりにSM嬢、漫画家、監督三人の鼎談も少し。
 巻末に庵野さんが今まで携わった作品の一覧もあって、…『くりぃむレモン』シリーズ原画やってたのかぁ。(しみじみ)

 図書館で検索をかけてたら何かの拍子に出て来て、こんな本あるんだ、と借りてみた一冊。何しろ20年前の対談なので、今とは監督自身も世間の方も、考え方、捉え方等変わってるんだろうな、と思いつつ。

 鴻上尚史さんの「演劇界は謎の時代が一旦終息しまして」ってのは妙に懐かしかったなぁ。私も確か小劇団とか見に行ってた頃だったので。私自身は「分かり易い方がいいに決まっとるやないか!」って開き直って、エンタメに走ったんですけど(苦笑;)。SFも、難解さについていけなくなって少々離れましたし。舞台のビデオは追体験以外では観ちゃいけない、ってのはそうかも。視点の自由がないんですよね、ライブビューイングでも、私はあっちが見たいんだ、ってやきもきすることがあるから。野田さんとの会で仰ってた音については、「成程!」でした。目から鱗!(笑)。
 野田さんとは凄く話が弾んでる感じ。手塚治虫が「ライオンキング」のことを絶対喜んでる、ってのは私もそう思いました(笑)。
 ケラさんとの対談は、赤字での訂正文がやっぱり読みにくくって(苦笑;)。分かり易くなってる部分もあれば、かえって分かりにくくなってる箇所も、ニュアンスが変わってると感じられる部分もありましたね。「ジャンル関係なくつまみ食いする人がいない」ってのは博物学の衰退にも繋がるような。エヴァの現場に女性声優さんが着飾って来る、ってのは三石さんの影響大なんじゃないかな。声優界にスタイリストを持ち込んだ先駆者だった気がする。
 『パトレイバー』の実写ジャケットに首を傾げるくだりも、成程、と思いました。よかった、アニメはアニメで愛してくれてて(笑)。 

 舞台は時間を支配できない(飛ばせない)という言葉は何回か出てきて印象的でした。
 音響監督さんを通さず、庵野さんご自身が声優さんに演技をつけるようにしたくだりも語られてました。庵野さんの思惑を音響監督さんに伝え切れないんだろうな。監督の意図を汲んで、演技指導するのが音響監督さんの仕事の筈なので。でもこの間NHKのドキュメント『プロフェッショナル』で映った現場を見る限り、「何かが足りないんだよ」って指導は 声優さん大変だな、と思いました。

 今回記事書くのに 各作家陣の氏名が林原さん以外 予想変換で出て来なくて、ああ、演劇界まだマイナーなのか、とちょっと遠い目をしたのでしたよ。