読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

再生(仮) 緒方恵美著 角川書店 2021年

超大変な壁を越え、これでしばらく安堵できると思う側から、必ずそれより大きな新しい「壁」が現れる…。生誕から現在までのトライ&エラーや作品秘話を綴った、声優・緒方恵美の自伝。カラーグラビアも収録。
声優・緒方恵美、初の自伝本発売!
新世紀エヴァンゲリオン碇シンジ
幽☆遊☆白書』蔵馬、
美少女戦士セーラームーン天王はるかセーラーウラヌス
カードキャプターさくら月城雪兎/ユエ、
『遊☆戯☆王』武藤遊戯
ダンガンロンパ』苗木誠/狛枝凪斗、
『地縛少年花子くん』花子くん/つかさ、etc.
数々の人気作/役を演じてきた
大人気声優が初めて明かす、これまでとこれから。
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その時はいっぱいいっぱいだったけど、こうしたらもっとラクだったとか、死にそうだったけど、結果的に選択したことは正しかったとか。
折しも、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ完結編の収録が終わり、ひとつ、大きな荷をおろせそうなタイミング。
膨大な私の「トライ&エラー」。それを越えた先に拡がった世界の話。
それをお伝えすることで、もしかしたら、誰かのお役に立てるのかもしれない。
僕はここにいてもいいのかもしれない。
僕はここにいてもいいんだ!
――「はじめに」より
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声優・緒方恵美がいま伝えたいこと。オール書き下ろし、出演作品秘話も満載!
巻頭には、ライブの写真の数々やアフレコ時の写真、幼少期~学生時代の貴重な写真も掲載した豪華16ページカラーグラビアも収録。
              (出版社紹介文より)

 林原さんといい緒方さんといい、今年は区切りの年なのかしら。単に昨年の巣ごもり期間に、執筆時間が取れたせいなのかもしれませんが。
 林原さんが演じた役に添って書かれてたのに対し、緒方さんはその時の自分の状況も書かれてます。こんなに公表しちゃっていいの?と思うくらい。緒方さんの本気が伝わってきます。
 『幽遊白書』や『セーラームーン』、『レイアース』『エヴァンゲリオン』『カードキャプターさくら』。懐かしい作品とそれにまつわるエピソード。「演じる」ための工夫や苦労、監督からのサジェスチョンは、へえ、こんな感じだったんだ、と教えて貰えて楽しかった。役への愛情も感じられて、それも嬉しかったです。そうそう、私も、TVシリーズの『エヴァ』では画面に向かって「いいよ、シンジくんもう乗らなくていいよ、そりゃ当たり前だよ!」と(心の中で)叫んでいた状態だったことを思い出しました。まんまと緒方さんの演技というか思惑というかに乗っていたなぁ(笑)。
 ただ、その裏に隠されていたプライベートでのご苦労…! 緒方さん、運悪すぎ!(←おい) 
 そうか、あの時代、大手事務所だとかえって大変だったんだな。CDデビュー、グラビア、取材、イベント、コンサート。草尾さんとかどうだったんだろう、他事務所の人は、林原さんや佐々木望さん、椎名へきるさんとかはアーツビジョンだったけど。(←ここらへんがオタク)
 才能に恵まれて先が見えていた為でもあるんでしょうけど、とにかく先陣を切って進む緒方さん。で、こなして形にしちゃうのが凄い。助けてくれた人がいるのはそうですが、そのアドバイスなり助力なりを受けて、努力や忍耐も惜しまない姿勢が透けて見える。演技力って人間力にも繋がるのかな、ってのは林原さんでも思いましたっけ。
 心配になるほど新人が優遇されていた時代だったのに、コロナの影響で変わっていく現場。言葉をかけあってこそより高みに上がる演技もあって、それは中高で演劇部にいた私ですら感じたことがありますが、それが難しい状況に。既に演技ができる人がキャスティングされ、新人がデビューしにくい状態、って説明にはなるほど、と思いました。それでも緒方さん、立ち上がるのね~。
 いや、緒方さんオトコマエ、かっこいい! 確かに、指針となる一冊でした。