読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

宝石商リチャード氏の謎鑑定[3] 天使のアクアマリン 辻村七子著 集英社オレンジ文庫 2016年

シリーズ3冊目。

 case.1 求めるトパーズ
 田村夫妻がご所望なのはトパーズ、結婚30周年の記念らしい。「好きな石を選べ」と言う割には 奥さんの好みを無視し、蘊蓄を並べ立てる旦那さんに、とうとう奥さんは切れてしまった。

 case.2 危ういトルコ石
 彼氏がトルコ石を置き土産に、行方をくらませてしまったと泣きついてきた女の子 置田あゆみさん。石は偽物だし、どうも騙されている状況に思えるが、彼女は納得しない。リチャードは珍しく怒りを顕わにし、詐欺グループに乗り込む算段をつける。「この石は呪われている」と。

 case.3 受けつぐ翡翠
 とある資産家の遺品コレクションが、オークションに掛けられることになった。馴染みの骨董商からの依頼で、リチャードはそのうちの一つ翡翠の仏手柑を競り落とすことに。下見に行った会場で、正義はリチャードが、シン・ガナパティ・ベルッチオと名乗る人物に絡まれているのを目撃する。その男はリチャードを、クレアモント卿と呼んでいた。オークション当日、シン氏はリチャードの競り相手としても現れ、こちらの予算を越える額を提示してくる。

 case.4 天使のアクアマリン
 谷本さんがお見合いするという。相手はルビーの件で婚約者を失わせてしまった因縁の相手、穂村さん。谷本さんは恋愛が分からない、と正義に打ち明け、その面倒から逃れる為だけに結婚するつもりなのだとか。身を引こうと考える正義に、リチャードは自身の経験を語り、谷本さんに告白するよう発破をかける。そして、そのまま、正義の前から姿を消してしまった。

 extra case. 傍らのフローライト
 成田空港にて。海外に出奔してしまった姉からの贈り物、ブレスレットの糸が切れて、石が散らばってしまった。一緒に拾ってくれたのが見目麗しい外国人男性。彼は宝石商だと名乗り、その石――フローライトの来歴を語る。…

  谷村さんが恋愛沙汰に対して、えらく鈍感な理由が明かされる回。リチャードの過去の片鱗も垣間見られましたね。
 正義くんの褒め殺しの才、ってのを正直今までそんなに感じていなかったのですが、というのも正義くん目線で書かれているので、正義君の心の声か実際言ってることなのかが判断つかなかった面もあったのですが、今回でようやく染み入って来た感じです、私も鈍くてすみません; というのも第三者の反応が今回多く描かれていたからですかね、資生堂パーラーのウェイトレスさん、災難でしたね、ご愁傷様です(笑)。
 さて、リチャードは姿を消してしまいました。何だか『泣いた赤鬼』のようなシチュエーション、それこそ身を引いたような状況です。当事者の正義以外の誰もが、二人の仲を「そういうふう」に見ている、見られても不自然ではないという訳ですよね。
 次巻に続きます。