読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

猫君 畠中恵著 集英社 2020年

連作短編集。
ネタばれになってると思います、すみません;

花のお江戸に隠された、猫又の陣地六つ。花陣・姫陣・祭陣・武陣・黄金陣・学陣。各陣の新米猫又は、将軍様の庇護のもと、江戸城内の学び舎「猫宿」で修業に励む。猫宿の長は、魔王と呼ばれたあの戦国武将(!)。みかんたちの力を試そうと様々な試練が課せられて―。お江戸猫又ファンタジー。    (紹介文より)

 猫君
 20年生きた猫は、尻尾が分かれて猫又になる。吉原の髪結いお香に飼われていた金目銀目の茶虎猫みかんは、20歳を目前にして病床のお香の元を離れて廓の猫又仲間の所へ。そこではやはり新米猫又の白花が、何者かに攫われようとしていた。白花とわが身を守るため、みかんは初めて人の姿に化ける。

 猫宿の長
 みかんたちは新米猫又の学校猫宿へ。猫宿は江戸城の中にあり、将軍家斉公まで挨拶に来るほど。しかも今年の猫又の為に、猫又の証の首玉まで用意したという。ただし、それは自分たちの力で見つけよとのこと、みかんたちは江戸城中を探すうち、屋根裏に隠された薬袋を見つける。そして、みかんたちを追う侍が現れた。

 猫宿始まる
 本来、最終試験である筈の「人に化けること」を、今年は最初にやるといわれてしまった。練習を重ねる猫又たちを、襲う輩が出てくる。庭師に化けた、黒っぽい毛並みの猫の正体は。みかんたちは犯人追及に当たる。

 あわれみの令
 新たな「生類憐みの令」が出る、という噂が流れた。猫にとっては災難でしかなかったこの令が、復活するのは本当なのか。猫長は、この危機を止めるには新米猫又に任せることとの占を告げる。みかんたちが調べると、家斉とその子 敏次郎との確執が浮かび上がって来た。

 合戦の一
 我冶楽の占いによると、近々猫又の陣地が減ることになるらしい。本気にした猫が、それは猫宿の仕業に違いないと乗り込んできた。新米猫又たちはその仕返しとして、各陣地から家一軒ずつ、各陣地から奪うことを決意する。

 合戦の二
 家を買うには金が要る。そう考えた各陣地の猫又たちは、新米猫又たちの金儲けの手段を探り始めた。どうやら河童たちと手を組んでいる様子、荷運びの商いをしているようだ。古参猫又は新米たちが目星をつけている物件を、買うことができないよう手を回した。…

 畠中さんの新シリーズ(多分)。
 主人公猫の「われ」っていう一人称、どこかでも聞いたよなぁ、と思いつつ。そのせいか、どうも他のシリーズと印象が変わらなくてですねぇ、…まぁ個性と言えばそうなのかな。
 20年も生きた猫が、また改めてあんな子猫みたいな感じになっちゃうかしら。それなりに老成してふてぶてしくなってると思うんだけど(苦笑;)。
 "猫君”とは、猫又たちの英雄や王に当たるもので、そろそろ生まれる、という噂がまことしやかに流れているそうで。ただこの噂がデマだというのは『猫宿始まる』で一応突き止められていて、でもこの題名、ってことはまた後々出てくるんでしょうね。
 それにしても、信長が猫又、ってのはともかく明智光秀まで、ってのはちょっとやり過ぎじゃないのかなぁ。だったら秀吉は、とか思っちゃうもんなぁ。