読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

絶対猫から動かない 新井素子著 角川書店 2020年

 「うぃやっ……地震?」
 56歳の大原夢路は将来が絶賛不安な元校正者、現在無職。両親の介護のために仕事をやめ、さらには認知症になった義父母の存在もがっしりとのしかかっている。そこそこに仲良しの旦那はいるけれど、そりゃもうストレスは満載。おかげで最近妙な夢を見る。地震で止まった地下鉄の中に閉じ込められ続けるのだ。親友の冬美と、袖すりあった見知らぬひとたちと、そしてもうひとり、人間の生気を喰らういきもの「三春ちゃん」と!!
 「三春ちゃん」が人間を捕食するために張った結界のせいで、夢路たちの夢の世界は囚われたまま。何故か意識のある夢路につられ、周囲の人たちも夢の世界を認識し始める。
 関口冬美は姑と嫁との価値観の相違に挟まれて、でも孫だけは守ろうとしている。
 氷川稔、54歳。大手企業の会社員。自閉症の息子が理解できず、妻に責任を放りっぱなし。
 村雨大河、61歳。定年退職して悠々自適、趣味の囲碁に勤しむ毎日。今度生まれる孫を心待ちにしている。誰も予想しない言動に行動、しかも空気を読まない発言でないがしろにされがち。
 佐川逸美、大学出たて、中学教師なりたて。バスケ部の顧問として、部員10名と共に地下鉄に乗りこんでいた。
 市川さより、元ヤンのナース。車両内で具合の悪くなった女性につきそって、現実世界で救急手配した。
 そう、この意識を失った女性のせいで、「三春ちゃん」は結界を解けなくなったのだという。この女性が意識を取り戻すか死なない限り、車両内の人物は一人ずつ、「三春ちゃん」の餌食になり続けるのだと。
 それぞれに問題を抱えたいい年の大人たちが、自分たちの生存と、たまたま居合わせてしまった子供たちの未来を守るために戦いを始める。初めはおずおずとコミュニケーションをとり、やがて奇妙な共闘態勢が。知恵を出し合い、相手の正体や弱点を探り、解決方法を探す。それぞれが自分の認識を新たにしたり、反省したり、時には開き直ったり。憧れるのは猫のごとき平和な日常、いつか手にしたら、絶対そこから動いてなんかやるものか。でも、それまでは――。
                (出版社紹介文に付け足しました)

 あとがきに曰く、編集さんからのリクエストで生まれた作品。『いつか猫になる日まで』の大人バージョンとのこと。
 いつもどおりの回りくどい文章、なかなかお話が進まない。今回コロナ騒動で図書館閉鎖からの利用再開で、一気に本が返却されたみたいでですね、予約本ラッシュが来ていてですね、「ごめん、ゆったり読んであげられない!!」ってんで、かなり斜め読みしました、すみません;
 『いつか猫になる日まで』は30年近く前に読んでるんですが、「あまりしっかり内容覚えてないなぁ」と思いつつ(すみません;)今回読み始めてですね、ラスト近くで「あっっっっっ!!」。
 そうだ、このいきなりステージが上がる感覚。この展開だ。…思い出しました。なるほど、『いつ猫』。(そう呼ばれているそうで)
 これは、三春ちゃんの物語でしたね。