東海道・箱根の関所には、今日も切実な事情を抱えた旅人がやって来る。西国へ帰る訳ありげな兄妹、江戸から夜逃げしてきた臨月の女、そして命を賭して一人の男にこの国の未来を託そうとする人々――黄昏を迎えた江戸の世で、若い関守の目に映る究極の人間ドラマ。さらに彼自身が迎える最大の岐路を鮮やかに描き出す骨太な時代小説。 (出版社紹介文より)
武藤一之介こと通称「武一」は小田原藩四人扶持の若き当主。お役目で箱根の関所を越える折、大切な手形の不備を指摘されて、一からやり直しの沙汰を食らった。だがよくよく聞いてみると、同じような憂き目にあった同輩が沢山いるらしい。不審に思った武一は事を調べ上げ、一人の伴頭が個人的な恨みを晴らすため、嫌がらせをしていることを突き止める。その功あって武一は、箱根関所の御先弓方に任じられることになる。その陰には、同じ道場に通った幼馴染み騎山市之助(騎市)の口添えがあった。
箱根の関所という辺鄙な場所に四か月毎に通うことになった武一。仲間や部下に恵まれ、賊を捕まえたり、身重の夫婦連れの面倒を見たり。新しい女改役の理世に仄かな想いを寄せるが、彼女の心は未だ別れた夫の上にあった。その男は蘭学を修めていたばかりに、お上に目を付けられたらしい。やがて、騎市から一人の男を関抜けさせたい、と相談される。その男は騎市の学問所の先生で、理世の元夫だった。…
これはまた、変わった所に目を付けたなあ。
面白かったです。それこそ、関所の御役目なんて知らないことばかりでした。美味しそうなものまで出て来るのはいかにも西條さん(笑)、エピソードを延々連ねて、もっと長く続けられそうなのに、一応一区切りなんですね。いや、もしかしたらまだ続くのかもしれないけど。続編出たら読んじゃうだろうなぁ。