連作短編集。
第一話 入居者がどんどん出ていくアパート
間山美波は見た目はリカちゃん人形のように可愛らしいが、とにかく不器用で仕事もミスばかり、「使えない」人材。趣味の刺繍もチューリップが串団子に見えるような有様、そんな美波がうさぎ通りの丸亀不動産に就職できたのは、「見える」体質だから。社長の二瓶敦子はワケアリと思われる物件に美波を送り込むが、見えるだけで対処できない美波には、恐怖以外の何物でもない。
タムラハイツに家族連れの幽霊が出た。入居者は次々出ていく状況、どうやらその幽霊たちは入居者の一人・井上華子の血縁らしい。養子として出した息子が大病を患い、実の母親に会いたがっている、と訴える両親は元々華子と折り合いが悪く、華子は意地になって父親の残した借金を返している状態。意固地になる華子相手に、美波はとある提案をする。
第二話 事故物件ではないのに幽霊の出る部屋
レジデンスKに女性の幽霊が出るという。入居者の一人 遠藤みちるの部屋に泊まらせて貰った美波が見たのはゲームに夜を徹して没入するみちるの姿、挙句の果ては幽体離脱し。しかも生霊が仕事に出ている間に体は本物の幽霊に乗っ取られてしまった。92歳で大往生したその老人は、生前妻にどうしても言えなかった謝罪を伝えたいという。
第三話 事故物件に住む人
丸亀不動産のライバル会社 ショップ・ラビットの社員で、事故物件専門に入居する 戸田翔矢。今回ロンダリングのため入居したのは、大音量のカラオケの中脳溢血で死んだ男の部屋。今も(聞こえる者だけが聞こえる)『乾杯』が鳴り響いているのだとか。部屋の中にいる男を見た美波は、彼の望みを叶えるため奔走する。結婚式間近に控えた彼、だが結婚相手そのものが見つからない。戸田と二人で、まず職場の聞き込みから始めてみた。…
う~ん、これはシリーズ化が絶対意識されてるなぁ(笑)。刺繍作家A太郎さんの正体とか、もう明らかなんだけど言及はされてないし。
面白かったです。基本的に二つのエピソードが並行する作り。そこそこ深刻なエピソードもライトに描かれます。
作品が溜まってきたら、TVドラマ化されそうな感じ。角川だし、そのあたり上手そうですもんね。