ジャバウォックの鑑札
コンクール地区大会当日。草壁先生が来ない。急用で遅刻するとの連絡に、チカは心配で仕方ない。かつてのクラシック界の寵児と呼ばれた男の、高校教師としての復活に、周囲はざわついてる様子、怪し気なライターまで会場の周りをうろついて、チカやハルタにちょっかいを出してくる。ハルタはハルタで、会場付近に迷い込んでいた希少犬チベタン・マスティフを保護していた。飼い主を探すと、何と二人も名乗り出てきた。小学生の少女と青年。何しろ高価な犬種なので、うかつには渡せない。遅れて現れた草壁先生が、首輪に刻まれた奇妙な暗号を解いてみせる。
ヴァナキュラー・モダニズム
8月、県大会を控えて。ハルタは一人暮らしをしていたアパートを追い出されて、学校で野宿のような生活をしている。それに気づいたチカ達は、建築士のハルタの姉と共に、新しいハルタの住まいを探すことに。格安で学校にも近く、防音設備まで整っている理想的な物件は、だが幽霊の噂もある訳アリなもの、謎の見えない一部屋があるらしい。しかもその物件を相続したばかりの孫は、相続税が払えないからとアパートを潰す決意をしていた。ハルタは数々の証言を聞くうち、一つの可能性を思い付く。
十の秘密
県大会当日。今回の台風の目の一つは清新女子高等学校吹奏楽部、メイクばっちりのギャルたちが見事な演奏をこなして見せる。一番の功労はそのスコア、編曲の技術。指揮者の遠野京香が学生の身でありながら、書き上げたもの。ただ、彼女は家庭の経済的な問題で、音楽の道を諦めようとしていた。しかもどうやら彼女には、部員たちがひた隠しにして庇おうとする秘密があるようで…。