『しゃばけ』シリーズ。連作短編集。
てんぐさらい
また寝込んでしまった若だんなの元に、古今東西の妖しい薬が集まってきた。薬がらみでもう一騒動、仁吉に恋した天狗姫 花風がおぎんに、仁吉との結婚を掛け合ってきたという。条件は薬祖神が二百年前に落とした神薬を集めること、七つのうちどうしてもあと三つが見つからないのだとか。西国は調べ尽くした、残りは東国にあるとおぎんは語ったという。若だんなはその言葉に疑問を抱く。
たたりづき
妖狐が若だんなの許嫁 中屋の於りんの筋を祟ったという。中屋の後添いの実家の借金を背負わせたとか、そのせいで中屋がもぬけの殻状態だとか、生き別れの跡取りを見つけただとか、でも祟りにしてはスケールが小さい。
恋の闇
三春屋の栄吉に縁談が舞い込んでいるらしい。だが話を聞くだに、栄吉が別人のような好条件で噂されていて、若だんなは首を傾げるばかり。どうやら仲人料欲しさに、無理な縁談を組もうとしている人物がいるらしい。そこには人里に降りてきた山姥が絡んでいるようだ。
てんげんつう
千里眼の持ち主 てんげんつう(天眼通)が若だんなを訪ねてきた。猫の三太から貰った千里眼のせいで、苦痛を味わっているという。だがよくよく話を聞くと、この能力を惜しむ心もあるらしい。「若だんなならなんとかしてくれる筈」と話すてんげんつう、そんな都合のいい解決策があるものなのか。
くりかえし
中屋の於りんが、大量の毛虫にかぶれてしまった。花見を楽しみにしていた桜を、毛虫まみれにしている植木屋ともめた結果だという。そんなことをする理由は何か、体の弱い若だんなは場久を頼って悪夢に入り、原因を突き止めようとする。だが、中屋に続く災難は、若だんなのその行動にあるのではないか、と貧乏神の金次が指摘する。…
久しぶり、仁吉のおぎんを想い続けている様子が描かれた『てんぐさらい』。そうそう、これが仁吉の出発点だった、と思い出しました。今回、結構オールスターキャスト的に登場人物出てきたよなぁ。
染井村の植木屋が開発した桜、ってのは染井吉野の原点なんでしょうね。いやいや、毛虫がごっそり、ってのは想像するのも嫌でしたわ~;
若だんなは本当に於りんちゃんをお嫁に迎えるつもりのようで、親元さんにもしっかり挨拶しました。でもまだ小さいから、もうちょっと先のことなんでしょうけど。…って言いながら、この世界もサザエさん的に時が止まってる感じだもんなぁ。この先描かれることがあるのかしら。シリーズはまだまだ続きそうです。