読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

メビウス・ファクトリー 三崎亜記著 集英社 2016年

 ネタばれあります、すみません;

 町の住民のほとんどが働く巨大工場。
 しかし、そこで何が作られているのか、
 実は、誰も知らない――。

 妻子を連れて地元の町にUターン就職し、街一番の工場に就職したアルト。
 完璧な管理システムを持った工場は、町民の誇りと憧れの存在だったが、
 アルトは働き続けるうち、徐々に工場の“秘密"に気づきはじめ――。

 閉鎖的な企業城下町を舞台に、現代日本を照射するSF長編。               (内容紹介文より)


 結局、「P1」って何だったんだ??
 いや、政府かどこかからお金を引っ張って来るための無意味な物、ってことは分かったんですが。
 町全体が宗教団体のようになっている状況、そこに帰って来た新入社員、出来上がった製品に「真心」がこもっているか否かを鑑定する鑑定人、盲目的に企業を信じている熟練工、補佐的な役割をする「お尽くし」。各人からの視点で描かれる異様な世界。
 何かを暗示しているような作風は相変わらず、まるで疑問に思わず周囲に従っていく町民に様子はやっぱり不気味でした。協調性のない私には、いかにもムラ的な、強制力が掛かっているような環境は息詰まるものですが、でもそのまま幸せに生きていける人なら、無理して壊す必要のあったものなんだろうか。
 町の、工場のからくりは暴かれていくのかな、でもあまり最後はすっきりしませんでした。