読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ターミナルタウン 三崎亜記著 文藝春秋 2014年

 ネタばれになってる気がします、すみません;

 「影」を失った男。闇を浴びて育つ「隧道」。
 見えないけれど「ある」ことにされているタワー。
 五百人以上を乗せて、姿を消した「下り451列車」。
 町興しを手掛ける「接続会社(コネクション)」の思惑。
 様々な問題を抱え込んだまま、静原町に大きなうねりがやってくる。
 誰よりも緻密に「架空」を描く著者による、待望の長編小説!!           (帯文より)

 
 静原町はかつて、列車の乗り換え駅の町、ターミナルタウンとして栄えていた。だが、列車の運行が変わって以来、今では降りる人もいないシャッター商店街の続く寂れた町になってしまっている。
 ある日、この駅に降り立った若者が一人。深見牧人はこの町で、手作りの木工細工を売る店を開き始める。市の助成金をあてにして、働くことも放棄しているような他の商店主に対し、復興への働き掛けを声高に主張する。台風で壊れたアーケードを直す案として牧人が出して来たのは、代わりに隧道を使う、というものだった。
 隧道。かつて鉄道を敷くにあたって必要不可欠な存在だったが、乗客ごと姿を消してしまった「下り451列車消失事件」の原因を一気に負わされてしまった上、トンネル技術の向上によって廃れ始めている技術。新しい可能性を見出そうとした牧人の提案は何とか受け入れられ、順調に運んだ。だが、古くから静原と敵対関係にある開南市から横やりが入る。開南市は、静原の町民を置き去りにした町おこしを実行し始める。
 「下り451列車」の残光が走る中、鉄道原理主義者たちが動き出す。高射砲塔跡とされるタワーは先の戦争での暗部を内に秘めており、かつて駅に捨てられていた「神童」丸川はその秘密を元に町を守ろうと画策する。そして、「鉄道フェスティバル」の当日、事態は大きく動き始める。…


 ぞうさん滑り台、高射砲塔、歩行士、何だか懐かしい名前もわさわさ出て来る一冊。ということは今までの世界と繋がっているんでしょうね。
 結局下り451列車はどうして消失したんでしょう、いずれ出て来るのかと思ってたら何だか成仏してしまいました。開南市はどうしてあそこまで静原を目の敵にしていたのやら。
 とはいえ、全てが繋がって収束する結末はやっぱりすっきりしました。でもまぁ、裏側の世界では色々まだありそうですが。