読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ウィンター・ホリデー 坂木司著 文藝春秋 2012年

 『ワーキング・ホリデー』続編。

エリア0 配達予告
 この夏に存在を知ったばかりの息子・進にめろめろな大和。今日も『ハチさん便』と呼ばれる宅配便で、地域に密着した荷物の運送に勤しんでいる。進からの連絡があまりないのがちょっと気がかりでもある毎日を送っている。

エリア1 サンタ便(トナカイなし)
 クリスマスに来る予定の進へのプレゼント購入資金として、大和は通信販売のセールスに精を出す。進が欲しいのは自転車なのだとか。かっこいいマウンテンバイクを、と張り切る大和だが、寸前、付属物の追加を思いつく。

エリア2 歳末特別配送
 クリスマスが終わる頃から増えるのがおせちの配達。取扱いに細心の注意が必要なこの商品を、臨時バイト職員の大東が落としてしまった。当然怒る依頼主に、大東は「自分が作る」と言い出してしまう。大和と進も、それに巻き込まれてしまった。

エリア3 初荷の酒
 初荷は日本酒が多く、配達先で酔っ払いに絡まれることもあっててんてこまい。そんな中、同僚がインフルエンザにかかって仕事が立て込み、進の相手をする時間もなかなかとれなくて大和はイラつく。進の話す母親・由希子の造形が、何だか自分の知っている由希子とズレていることが多少気にもなるし…。

エリア4 ハート配達人
 バレンタインに、クラスメイトの女の子からチョコレートが欲しがっている友人がいる、と進から相談が。同じ相談を、同僚のコブちゃんからも受ける大和。また、せっかく出した荷物を「返して欲しい」と言ってくる女の子・金田まりも現れて…。

エリア5 届けたい
 三月、進が行方不明に。進の友人・コウタの話はとんと要領を得ず、大和は何年かぶりで会った由希子と共に、進を捜し回る。大人に心配をかけることがない、よくできた進らしからぬ行動には、実は目的があった。…


 う~ん、こんなにうまく行くものかなぁ、と思う箇所はありながらも(特におせち料理のあたり! 料亭の味だからこそ、その家庭の味じゃなくてもいいや、と思えるものなんじゃないかと思うんだけど)、すらすら気持ちよく読めました。
 実は大まかな設定以外ほとんど忘れていて、登場人物も主人公親子くらいしか覚えてなかったんですけど、そこな親切説明で何とか…(苦笑;)。そうそう、進くんいい子だったんだよね。宅配の仕事の大変さも分かりましたし。…でも、どこの宅配業者も、こんなに誠実に対応してくれてるかな、と言う疑問はこっそり抱きつつ(こそこそ)。
 相変わらず美味しそうなものてんこ盛り。コブちゃんとナナちゃんが上手くいったのにもちょっと驚きました。
 大和と由希子は寄りを戻すのかな。それも大丈夫なのかなぁ。『和菓子のアン』とのリンクも嬉しい一冊でした。