読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

かの名はポンパドール 佐藤賢一著 世界文化社 2013年

 ルイ15世寵姫 ポンパドール侯爵夫人の生涯。

 時代は18世紀のフランス。
 平民の身分ながらブルジョワ階級の娘として貴族の子女以上の教育を受けて育ち、16歳で社交界にデビューするやパリ中の評判となり、その美貌と知性でルイ15世の心を一瞬にして奪ってしまったジャンヌ・アントワネット・ポワソン。
 ルイ15世の寵姫、ポンパドール侯爵夫人となり、フランスのみならずヨーロッパの芸術、文化の発展に目覚ましい貢献を果たし、事実上の宰相・外相の役目まで務めた、ポンパドール夫人の類い稀な活躍を華麗に描き出す。
                                         (紹介文より)


 女性蔑視が当たり前だった時代にしてみれば、国王というトップに君臨する男のハートを射止めるのがほぼ唯一の女の才覚の表し方、という考えに目から鱗。いや、そうなのかもしれないけど、いずれ飽きられたら終わりじゃん、というか飽きられない努力をするものなのか。ポンパドール夫人はそうした訳ですし。
 誰かに嫁いで子供を産んでしまえば後はお役御免、夫以外の誰に恋を仕掛けて楽しむのも自由。…どこがカソリックの国の考え方なんだ??
 王の目に止まるよう策を弄し、生来の趣味のよさとブルジョア出身の強みを生かして、旧態依然とした貴族社会に、髪型だの服装だの演劇だの新風を吹き込み、数多建築物の設計建設から陶磁器の開発まで。決して卑屈になる訳ではなく、あくまで誇り高く。相手が陰ながら後援者であった人物であっても、屈しはしない。
 うん、でも結局最終的には、税金あんなに使い込んでるんだよなぁ、と思ってしまう。後々大統領官邸や観光名所になっていたとしても。