読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

明治・妖モダン 畠中恵著 朝日新聞出版 2013年

 江戸が終わって20年、銀座を舞台に繰り広げられる妖怪譚。
 ネタばれあります、すみません;

第一話 煉瓦街の雨
 銀座煉瓦街の一画にある牛鍋屋 百木屋に今日も常連が集まっている。うちの一人、下谷のお目当ては百木屋の看板娘・みなも。だが、店主で兄の百木賢一は得体の知れない、なのに妙に羽振りのいい下谷が気に入らない。下谷がみなもに無理矢理渡して行った翡翠のブロオチが盗品だと知れた時、みなもは行方不明になった。馴染みの巡査の使いだと名乗る人物に、連れて行かれたらしい。百木は必死で妹を捜す。

第二話 赤手の拾い子
 百木屋の常連客・赤手が小さな女の子を連れて来た。どうやら迷子に懐かれてしまったらしい。おきめと名乗る子供は、ちょっと目を離すといきなり成りが大きくなる不自然さ、しかも沢山の金剛石の裸石を持っている胡散臭さ。欲に目がくらんで広まってくる大人たち、我こそは実の親だと名乗るが信用が置けない。だがおきめは、ある男について行くという。彼女は美しい少女の大きさまで育っていた。

第三話 妖新聞
 新聞に、妖や怪異の記事が載るようになった。江戸橋近くに5人の遺体が流れ着いた事件も、妖の仕業ではないかと姦しい。百木屋常連の巡査・原田と滝の周囲を嗅ぎまわる新聞記者も現れた。事件の進展具合をスクープしようという腹らしい。そんな中、原田の身重の妻を人質にしたという脅迫状が舞い込んだ。指定場所に駆けつけた原田は、不審者に斬り付けられて瀕死の重傷を負う。

第四話 覚り 覚られ
 妖『さとり』を捜している、という代言屋が現れた。友人の恋を叶えるため、人の心が分かる『さとり』と話をしたいと真剣な様子、折しも世間では初の衆議院議員選挙が行われるという話題で持ちきりになっている。何か関係があるのではないか、と原田と滝の巡査コンビは、その代言屋に不信感を覚える。

第五話 花乃が死ぬまで
 巡査・滝を見て、初恋の人にそっくりだという老女が現れた。親の言いつけで何度も親の決めた相手に嫁いだ伊沢花乃、おかげで大金持ちにはなったが天涯孤独の身になってしまった。ずっと心に思い続けてきた相手と、容姿どころか名前まで同じだと言う男を見つけて、花乃は全財産を滝に譲るとする遺言状をしたためる。その頃、花乃の身辺が危うくなるような事件が頻発しはじめた。…


 「いやぁ、険呑険呑」とかいう台詞を見ると、高橋留美子作品を思い出す今日この頃。
 いや、どうもこのごろ疲れているのかも、とこの作品を呼んで思いました。全五話読んだんですが、どうも登場人物が頭に入って来なくてですね;;
 滝さんと原田さんはどう違うんだとか、結局赤手さんは何だったんだとか。多分作者が狙ってるような、ぞくっとくる恐さも感じなくてですね、こういう一枚めくれば、的な怖さの表現は小野不由美さんとかの方が上かなぁ、とも思ったり。畠中さん、底辺は明るい感じがするもんなぁ。
 表紙のイラストはちょっとレトロモダンな感じで素敵です。『アイスクリン強し』と同じイラストレイターさんかな。色合いが可愛くて好きです。