読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

有川浩脚本集 もう一つのシアター! 有川浩著/脚本設定 石山英憲(Theatre劇団子) メディアワークス文庫 2011年

 小劇団に舞い込んだ初の公演依頼とは!?

 春川巧が主宰を務める小劇団『シアターフラッグ』。300万円の負債を抱え解散の危機が迫る劇団に、地方都市の高校から学校公演の依頼が舞い込む。利益が見込めないことを理由に反対する鉄血宰相・春川司を尻目に、初めての公演依頼に舞い上がる『シアターフラッグ』のメンバー達。しかし、意気揚々と学校へ乗り込む彼らに降りかかる思いも寄らぬトラブルの数々。小道具のゴミは捨てられ、舞台セットは届かない、パンフレットの中味はすり変えられる。あたふた、じたばたしながらも開演に漕ぎつけるべく頑張るメンバー達、果たして無事幕は上がるのか、公演は成功するのか…?
 有川浩が舞台『もう一つのシアター!』のために書き下ろした珠玉の脚本集。巻末には大和田伸也、阿部丈二とのスペシャル対談も収録。
                                       (表紙裏の紹介文に少し付け足しました)

 
 『シアター!』番外編。何が楽しい、って章末ごとに書かれている【注】。有川さん、観劇経験があまりなかったらしく、見るもの聞くもの全て新鮮!って感じで、稽古や本番で見て面白く感じたことを逐一書いてます。楽しかったんだなぁ、ってのが伝わって来るんだよなぁ。ただ、実は有川さんが感激している部分に驚いた所もありました。ここで感動するんだ!って。私は中学生の時演劇部だったし、大人になってからもよくお芝居見てたので(この頃ちょっとご無沙汰してますけど)、どうもスレてる所があったようで。
 例えば舞台上、進行に直接関係ない人物が他の出演者が喋る台詞に反応するとか。…これ、中学生の演劇部でも注意される所なんだよなぁ。ぼ~っと立ってるんじゃないよ、アップが使えるTVや映画なんかの映像作品と違う所はここなんだよ、って。で、気が付きました。私、ず~っと昔自費出版でパロディ漫画描いてたりしたんですが(いきなりのカミングアウト・笑)、普通なら背景扱いになる、後ろの登場人物に動きをつけて描くの何だか好きで。これ、多分演劇経験からだったんだわ(目から鱗!・笑)。
 有川さんの作品自体、会話文がテンポよくてスピーディで、そこだけ取れば小演劇っぽいと思ってたんですが(漫画『銀魂!』でもそう思っている)、それでもやはり舞台ならではの台詞まわしもあって。後半の「センセ、こいつ超おもしろい」なんてのはまさしくそうですよね。きっとゴミ袋持ちながら右へ左へ動きまわったんだろうなぁ。
 『外郎売』の1フレーズが『ハムレット』に変更になった、というエピソードも納得。『外郎売』は滑舌の練習とかには使うけれど、確かにあまり一般的ではない気がする。
 有川さんの演劇魂にも火がついたようですね。有川さん、えらい世界に足突っ込んじゃいましたねぇ(笑)。