読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

大奥 1~6巻 よしながふみ著 白泉社ジェッツコミックス

 三代将軍家光の時代のこと。
 若い男を中心に罹患し死亡率が異様に高い伝染病「赤面疱瘡」が流行り、男子の人口は女子の4分の一までに減って、表向きの仕事は全て女が引き継ぎ、男は子種として大切に扱われている。
 将軍職も例外ではなく、家光の病死後、その後を忘れ形見の千恵姫が継ぐ。大奥は護衛のため国中から男がかき集められる所となり、それはやがて、世継ぎを残すため数多の男を揃える場所と変化して行く。
 そして、8代将軍吉宗の時代、大奥が常習化した頃。数々の決まりごとに、吉宗は疑問を抱く。…

 男女逆転架空大奥絵巻。ドラマ化も決まったようですね。
 3巻までは自分で持ってるのですが、それ以降は読んでませんでした。…何故かなぁ、映画化が決まったのがそれ位だったのかしら、世間で騒がれだすと「まぁいいや」ってあまのじゃくな所が出てきたような。設定を妙にあざとく感じたのも一因かな。何か「後でまとめて一気に」みたいな感じになってました。今回図書館で見かけたので、これを機に続きを読みました。

 いや、面白かったです。やっぱ巧いわ。
 男女逆転するだけで、数々の思惑がすとん、と理解できる。大奥がいかに異様で滑稽な、歪んだ場所だったか。綱吉の「月のものなどもうとうに来ておらぬわ」の台詞には戦慄しましたね。でも凄いのはそれだけじゃなくて、家光や綱吉の哀しみだけではなく、男の心情まで理解できるということ。
 情けないマザコンに描かれることもある実際の綱吉の行為が、男女逆転したこの漫画では納得できる。またその父親の呪縛からの解放を、お掻取を脱ぐことで表現する巧さ、その後の皮肉な結末の見事さ。
 忠臣蔵をこういう風に見ることもできるのか、って本当に目から鱗!でした。

 4代将軍家宣の死で、6巻は終わります。歌舞伎はタカラヅカみたいな感じになってるんでしたよね、傷心の間部詮房はどう立ち直るのか、「江島生島事件」はどう描かれるのか。
 …というか、これ何処の時代まで描かれるんだろう。八代将軍吉宗から描かれ始めたということは、吉宗の時代まで、なのかしら。終わり方も気になります。