『大奥』完結。
家茂が大阪に行っている間に、自分が子供を産んで家茂を休ませようと計画する和宮。だが相手として選ばれた黒木に諭されているうち、家茂死去の知らせを受ける。
十五代将軍には慶喜が就くことになり、大奥年寄 瀧山は大奥の規模が縮小されることを予想、前もっての希望退職を募る。
同年末、家茂と友好関係にあった孝明天皇が崩御した。犯人は岩倉具視と薩摩藩であるとのダイイングメッセージを和宮に残して。そして慶喜から大政奉還が発令される。
政権は徳川に戻らなかった。だが慶喜は諸外国に対し未だ君主然として振る舞い、西郷隆盛らを苛立たせる。西郷は徳川幕府に嫌がらせを繰り返し、まんまと戦争を起こさせることに成功。だが起こした戦争を慶喜は中途半端に放り出し、家茂に忠誠を誓った勝海舟と阿部伊勢守正弘に救われた瀧山、家定を愛した天璋院、家茂にのみ心を開いた和宮が尻拭いに奔走することになる。
四月三日、江戸城無血開城を前に、大奥最後の花見の宴が開かれた。
全てが終わって皆が退居したのを確認し、瀧山は切腹する。…
…最後まで行ったなぁ。
話の流れはほぼ分かってる筈なのに、こんなにも面白い。女将軍の記録がないことの辻褄を合わせ(西郷の言い草にはちょっとムカついた。赤面疱瘡が収まるまでは薩摩だって女性藩主だったんじゃないのかよ)、津田梅子まで繋げる、何と綺麗なエンディング。和宮の、プライドではなく実を取る言は、これぞ君主の態度だよ、と胸が熱くなりました。で、緊迫した場面の筈なのに絶妙に入るコメディテイスト(笑)。最後に部屋子に入った仲野がいい味出してましたね~。
和宮が花見の席で着てたのは、家茂が見立てた袿ですよね。
架空の歴史の筈なのに、凄く勉強になりました。…学生時代に読みたかったなぁ(笑)。