読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

彩雲国物語~紫闇の玉座(上)(下)  雪乃紗衣著/由羅カイリイラスト  角川ビーンズ文庫  2011年

 『彩雲国』シリーズ21・22冊目、本編としては17弾、最終話。
 ネタばれあります、すみません;

 彩雲国を脅かす蝗害の回避策を求め、官吏として奔走する秀麗は、ついに異能の一族・縹家の全面的な支援を取り付ける。一方国王・劉輝は、全権を門下省長官の旺季に委任し、未だ沈黙を守っていた。飛蝗の大群が迫る紅州へ馬を飛ばす旺季。そして瑠花と珠翠に後押しされ縹家を出た秀麗も、僅かに残されたおのれの命の刻限を自覚しながら、同じく紅州へと向かう。
 飛蝗に食われて何もかもが足りない紅州で、旺季が縹家の備蓄を襲おうとした間一髪、縹家ゆかりの寺社から白旗を上げて秀麗が飛び出す。旺季は秀麗の有能さを認めながらも、劉輝に甘いという欠点を指摘、秀麗は一言も返せない。歯を食いしばったまま、秀麗は蝗害と共に追いかけていた謎――紅州の鉄炭の大量流出事件を追う。
 朝廷は旺季派、劉輝派に別れ、抗争は水面下で激しさを増すばかり。旺季が紅州で足止めをくらっていた隙に、とうとう旺季派の一部が暴走し、瑠花や羽羽がが殺された。陰で糸を引いていたのは凌晏樹、瑠花は自らの命を人柱に、彩雲国を鎮めにかかる。

 勢いを増す旺季を前に、劉輝は全てを捨てて王都を逃げ出す。悠舜をはじめ、誰の命も失いたくないと争いを避ける故の行動だった。旺季と入れ代りに紅州に逃れた劉輝は、ひと冬の後、旺季との直接対決に臨む。劉輝に王位の禅譲を迫る旺季。その場には、残り一日の命をその日に費やすことを選んだ秀麗の姿もあった。…

 
 う~ん、大団円。
 繰り返し「命が尽きかけている」「あとが無い」と語られます。秀麗を説得するように、その実読者に分からせるように。そうかなぁ、本当かなぁ、と思ってたらやっぱりちょっとどんでん返しがありましたね。だからそういう所が、はらはらどきどきが減る所以なんだってば(苦笑;)。
 懇切丁寧な文章は相変わらず、くどいんじゃないかしら、と思う所もあり。瑠花や英姫にしても、無駄死にを絶対出さないのは、キャラクターへの愛情深いよなぁ。秀麗が旺季ではなく劉輝を選ぶ理由なんか、物凄く納得できるものなのに、どうして前半でも入れてしまうのかしら、勿体ない。旺季の誘いをぴしゃりと断る、その場面だけでいいのになぁ。
 でも今までの伏線と言うか、登場人物を全て拾うような収束は本当、お見事。陸清牙とか皇毅とか、何してんだろう、って人もいましたが。絳攸や静蘭もそうといえばそうですね。
 下巻表紙折り返しの作者の一言、「これが、私のデビュー作です。」 …そう、デビュー作なのよね。
 お疲れ様でした。