読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

キノの旅ⅩⅤ―the Beautiful World― 時雨沢恵一著/黒星紅白イラスト メディアワークス電撃文庫 2011年

 『キノの旅』15冊目。

 見つけてしまった国
 熱い湯の川が流れる貧しい土地で。最初の旅人、女性と男性の二人連れは「温泉を観光資源にすればいい」とアドバイスし、次に訪れた青年と犬と少女の旅人はすっかり街が大きくなって、でも人々の心も荒んだ温泉町に落胆し、キノとモトラドは温泉が枯れてすっかりさびれた湖畔で、川に流れる砂金を見つける。
 
 白い国
 大きな湖を抱える国で。湖から獲れる大量の貝料理に舌鼓を打つキノ。でも住民は貝にうんざりしている。でもそれは仕方がない、貝の大量発生を許してしまったのは自分達なのだから。

 ケダモノの国
 冬は雪の中に埋もれ、夏は泥濘に覆われる国。ここ最近、どこかから現れた羆の被害に頭を悩ませていると言う。警察隊もやられてしまった後、師匠と男は羆退治を依頼される。羆は一体どこから来たのか。

 マニアの国
 キノはパースエイダー(銃器)のコレクションをしている男と出会う。でもその男はナイフは嫌いなんだとか。何故なら人を傷つけるから。

 過去のある国
 師匠から聞いた廃墟の国を訪ねるキノ。家も食べ物も残して住民だけが消えた不思議な国の筈なのに、行ってみると人がたくさん住んでいる。しかも八百年の歴史があるんだとか。

 フォトの日々
 フォトは小さい頃、奴隷として商人に売られた。でもその商人達は、毒草を食べて死んでしまった。一人残されたフォトは、小さな折りたたみ式のモトラドの言葉に従い、商人達のトラックで次の国に向かう。商人達の荷物と、写真機を積み込んで。

 ジャーナリストの国
 “キノ”と言う名の背の高い男の旅人が殺人鬼である、というノンフィクション小説がベストセラーになっている国で。キノは著者であるジャーナリストを訪ねる。
 
 犯人のいる国
 連続殺人が起きている、治安の悪い、でも規律は厳しい国で。キノも犯人に襲われ、エルメスともども警察の捜査に協力する。キノとエルメスが首実検した人物は以前から容疑者として名前が上がっていて、でもその度にしっかりアリバイがあるらしい。

 戦って死ぬということ
 シズと陸とティーが訪れた国。近隣の国から攫ってきた子供たちを、特殊な薬を与えて記憶を飛ばし、少年兵として使っているような国。得々と自慢する軍人に、ティーは尋ねる。「あなたは、むかしのことを、おぼえているか?」 

 最後は今までに出てきた印象的な(?)料理のおしながきを。…


 相変わらず読み易い。やっぱりこの作者は短編の方が好き。『白い国』のオチなんか、食い意地が張ってていいよなぁ(笑)。
 今回、新しいキャラクターも出て来ましたね。フォトはこの話だけの登場なんだろうか。旅に出てないから、流れとしてはこの一話だけっぽいんですが。
 表紙のキノが何だかどんどん色っぽくなっていってる気がします。いや、この作品に色気はあまり求めてないんだけどなぁ。