読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

すべての若き野郎ども 久保寺健彦著 講談社 2008年

 久保寺健彦、デビュー三作目。
 ある高校生の四年間を描いた物語。

 『帰ってきたウルトラセブン』:
 千葉恭平は寺田達夫と出会い、暴走族から抜けた。勢いまかせ、出たとこ勝負、それでも喧嘩が馬鹿強い達夫は15歳。全国のヤンキーをのして、目指すは二年で天下統一。達夫は恭平を巻き込んで、四月町にたむろする数多くの不良を倒して行く。連合した暴走族二グループと戦い勝利した二人に、今度は伝説の男・セブンが襲いかかる。以前素手で十人を倒したと言うセブン。ウルトラセブンの戦い方をそのままなぞって勝利する謎の中年男に達夫は負け、戦歴317勝1敗で天下統一を諦める。次はストリートミュージシャンを目指すんだとか。

 『恋人は鎌倉人』:
 以前の仲間・雅人を刺して少年院に入った恭平。出て来た彼を出迎えた達夫は、名門女子高の少女・綾小路千世にめろめろになっていた。自分の前世を信じているような危ない彼女に恭平は一線引くものの、達夫に連れられて学祭にまで行く。一方、バイトを始めたコンビニには「伝説の」恭平を慕って、かつての友達の妹・薫が顔を出す。雅人もまた、恭平への仕返しの隙を窺っていた。
 
 『スチュワート家のクリスマス』:
 雅人のせいでコンビニをクビになった恭平に、達夫がバイトの話を持ちかけて来た。クリスマスまでの1ヶ月、休店している美容院に住みついていた退廃的な美青年・牛久保と組んで、飲み屋のようなものをやらないかと言うもの。乗り気ではないがいつもの通り達夫に押し切られ、「スチュワート家のホームパーティー」なるコンセプトの店が開店した。最終日、ミカジメ料を取りに来るヤクザ連中に、達夫はスプレーとライターで火を吹いて応戦する。

 『四月町グラフィティ』:
 達夫はアメリカへ行く。TVの特番で見た心臓外科医に憧れ、自分もかの地で医者を目指すと言う。日本最後の日、ライブの後、女の子数人を読んでパーティをやると言う達夫。だがその噂を聞きつけた不良連中は、これが最後と達夫と恭平に襲いかかる。何度も危機を逃れつつ、絶対絶命の場面を救ってくれたのは、「師匠」の下で修行してきた薫だった。…

 達夫と言えば嘉門達夫。…ではなく。
 相変わらず、するする読める作品だなぁ。通勤電車の中、一日で読めました。面白かったと言えば面白かったんですが、何か読み終わった後で「…で?」と訊きたくなってしまいました、ごめんなさい;
 セブンも鎌倉の電波少女も牛久保青年もほったらかしだしなぁ。
 携帯電話とか今時のアイテムも出てくるのに、何だか妙に古臭い気がしました。作者は私と同年代なんですが、その頃も今も不良って大して変わらないのかしら。
 恭平くんは真面目に学校へ行きなおして、選んだのが哲学科。…そんな、あまり役に立つとは思えないものを…(←暴言;;)。保護司の山本先生に感化されたんなら、何か職人目指せばいいのに;; …って、そう言えばこの作者、職人さん好きだなぁ。
 何しろ今回は暴走族だの喧嘩上等!だの、私には馴染みのない世界の話でしたので; キャラクターにもお話にも入り込めなかったのは勘弁して下さい;