マリア様がみてる～フレーム オブ マインド 今野緒雪著/ひびき玲音イラスト 集英社コバルト文庫 2007年

　『マリみて』シリーズ28冊目。短編9本とのりしろに当たる書き下ろし1本収録。

　交通事故のため一年遅れで高校生活をスタートさせた鈴本いちご。事故の前後の記憶を失って何もかも初めての経験の筈なのに、何故か他愛のないことを知っている。先生の言う駄洒落や授業のクセ、出席番号が一つ前の「鈴木二葉さん」の初対面の時の台詞。二葉さんのお姉さん・一絵さんと知り合ったいちごは、一年前の入学式の記憶を取り戻し、お姉さまも手に入れる。…：『四月のデジャブ』

　小笠原祥子の妹になった福沢祐巳が日々輝いていくのを見た立浪繭は、自分を本当に輝かせてくれるのは今のお姉さまではない、と「黄薔薇革命」を切っ掛けにお姉さま本山栄江をふる。以来、人のお姉さまにちょっかいを出して嫌われる繭。新しく栄江の妹になったのは、幼稚舎で一緒に四葉のクローバーを探した小磯朱祢だった。…：『三つ葉のクローバー』

　内藤克美は、一方的に鳥居江利子をライバル視していた。大学受験の一年後、合格祈願した神社で江利子に出会った克美は、江利子とわだかまりなく話せる自分に気付く。…：『枯れ木に芽吹き』

　黄薔薇さまであるお姉さまに、目ぼしい一年生のリストを渡された鳥居江利子。でも気になるのは背の高い、ショートカットの男の子のような一年生。マリア様に熱心に祈り、図書館で脈絡の無い大量の本を借り出そうとし、剣道着で走る彼女にはどんな秘密があるのだろう。…：『黄色い糸』

　幼い頃いじめっ子から守ってあげていた小池さゆりがリリアン女学園に入ってきて、寛美は嬉しくて仕方が無い。昼休み教室から連れ出して一緒にお弁当を食べたり、思い出話をしたり。でもそれは、さゆりにとっては嫌な過去の思い出を掘り起こされることでしかなかった。…：『不器用姫』

　細川可南子から見た祐巳との出会いを描いた作品。…：『光のつぼみ』

　古い温室に魅せられてしまった皐月。決まった世話係がいる訳でもないのに薔薇が咲き乱れる温室には、「妖精がいる」と専らの噂。皐月はそこで「シー」と名乗る上級生に出会う。…：『温室の妖精』

　漫画研究部の夏休みの合宿にて。水湊は夜中の肝試しで、自分とよく似た人物と出会う。彼女は「アリコ」と名乗った。…：『ドッペルかいだん』

　写真部の先輩に作品を撮ってくるよう言われた笙子。フィルムに記した名前は…。：『A Roll of Film』

　エピソード一連を繋げる「タケシマツタコ」と書かれたフィルムを巡っての騒動：『フレーム オブ マインド』…

　久しぶり、先代黄薔薇さまが出て来てちょっと嬉しい。先々代の黄薔薇さまは三石琴乃さんでしたよね～、妹をからかって遊ぶ様子が目に浮かぶ、と言うより耳に浮かぶわ（笑）。
　アリコが好きな先輩は「アリコの友達が好き」ってのは誰のことを指しているんでしょう（笑）。やっぱり祐麒くんのことなのかなぁ。
　『四月のデジャブ』や『温室の妖精』なんかはちょっと無理がある気もしないではないけれど、『不器用姫』は身近でありそうですね。
　瞳子との決着は次でつくようですし、楽しみ楽しみ♪