読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ママの狙撃銃 荻原浩著 双葉社 2006年

 「奥様の名前は曜子。
 二人の子供に恵まれ、
 ささやかな庭でガーデニングに精を出しながらも
 ナメクジに悲鳴を上げる、ごく平凡な主婦。
 ただ、一つだけ違ったのは
 奥様は、暗殺者だったのです」
 六歳で母親に死に別れ、アイルランドアメリカ人の祖父・エドに引き取られた曜子。人種差別が激しく治安の悪いオクラホマで、曜子は自分の身を守るため、エドから狙撃を教わった。祖父に死の病が迫った16歳のある日、曜子は彼の代わりに「仕事」を引き受ける。たった一度だけの暗殺。祖父の死をきっかけに日本へ帰って来た曜子は、十年ぶりの日本に戸惑いながらも、人の良い夫と知り合い、反抗期真っ最中の中学一年の娘・珠紀と水泳に夢中の幼稚園児・秀太を得て幸せに暮らしていた。ところが。
 25年ぶりに仕事を依頼してきた「K」。以前殺した男の幻にずっと苦しめられているのに、夫の左遷・リストラが重なり、報酬に釣られて暗殺を引き受ける。穴だらけの計画を何とか成功させる曜子。幻は二人に増えた。もう二度と仕事は引き受けない。だが更にKは暗殺を依頼してくるし、夫は起業の失敗で借金を背負う。祖父の形見レミントンM700も捨てられない。急に熱を出した秀太を連れて、曜子は狙撃場所に向かう。今度のターゲットは誰か。スコープを覗いて、曜子は息を呑む。…

 荻原さんの作品を読むのは初めてです。あちこちの方が読んでて、しかも面白そうだったので興味を持ちました。図書館の書架に並んでいる中から、シリーズ物じゃなさそうな一冊を選んでみました。
 明るい日常生活から始まる書き出しに、気楽に読めるコメディかと思って読み始めたら。
 …重い。でも読みやすい。テンポがいい。緩急の付け方と言うか、軽重の付け方と言うか。曜子の重い内面から秀太や珠紀との明るい日常へ、また一転、珠紀の絶望から彼女をいじめるクラスメイトをやり込める辺りとか、何とも爽快。それで吹っ切って曜子は自分を認める。でも哀しい。
 個人的に、この人の文章にも影響を受けた気がする。北村薫さんとか新井素子さんとか佐藤賢一さんとか、読み終えた後、頭の中の言葉が「そう言う風」になる作家さんいるんですよね~(笑)。
 それにしても。この旦那頼りないにも程がある、何とかならんか?? 多少腹が立ったぞ(笑)。秀太くんも微笑ましいけどアホやしなぁ(笑)。