読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

交通警察の夜 東野圭吾著 実業之日本社 1992年

 交通事故にまつわる短編6本収録。
 ネタばれあります、すみません;

『天使の耳』:交差点での夜間の衝突事故。目撃者もいない。一方の運転手は死亡、もう一方は生き残った。生き残った方の運転手は相手が赤信号を無視して突っ込んで来たのだ、と言う。死亡した運転手の車に同乗していた少女は盲目のため証言できない。だが、その時ラジオでかかっていた音楽から、信号の色を言い当ててみせる。
 …でも一筋縄では行かないんですね~。

『分離帯』:前を走っていたトラックがハンドルを切り損ねてスリップ、分離帯を超えてクラッシュした。何故急にハンドルを切ったのか、どうやらコンビニの前に違法駐車していた車がウィンカーも出さず発進したせいらしい。なかなか動かない警察にかわり、トラック運転手の妻がそのコンビニに張り込んでその車を探す。

『危険な若葉』:狭い裏道でのろのろ走っていた若葉マークの車に苛立った後続車。散々煽ったため、若葉車は事故ってしまう。前方車の運転手・映子は自分は幼児殺害事件を目撃したかもしれない、おそらく命を狙われたのだ、と主張する。…
 …これは、当時はともかく今は使えないんじゃないかなぁ。その間幼児殺害事件の捜査は止まるだろうし、殺された子供の親の気持ちとか考えるとちょっと酷い。

『通りゃんせ』:お正月早々、当て逃げをされた主人公。諦めていたのに、犯人が名乗り出てくれる。修理代を出しただけではなく、別荘に招待する、とまで申し出られて薄気味が悪い。その裏にはやはり思惑があった。…
 …東野作品に珍しく良心に基づいた(?・笑)作品。

『捨てないで』:前方の車が捨てた空き缶が当たって、婚約者の左眼が負傷、失明してしまう。「白のボルボ」と言う手掛かりだけを頼りに車を探す男。その頃、ボルボの持ち主は不倫相手の女を殺す計画を立てていた。…
 …天網恢恢、疎にして漏らさず。いやしかし、そんなにあっさり諦めないでよ、その女性にとっては死活問題の怪我だと思うのですが;

『鏡の中で』:交差点で右折時のバイクと乗用車の接触事故。バイクの若者はノーヘルだったこともあり、死亡した。車に乗っていたのはかつてオリンピックにまで出たマラソン選手。今はコーチとして女子選手を指導していた。…
 …分かる人にはさっさとネタの分かる作品でしょうね。

 何か、色々な所で時代を感じた作品でした。…女は結婚相手さえ見つかれば幸せ、みたいな価値観が見え隠れ…ってのは私の僻みかな(笑)。