読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

東の海神 西の滄海 十二国記  小野不由美著 講談社X文庫ホワイトハート 1994年

 「国がほしいか? ならば、一国をお前にやる」
 これが、雁州国延王・尚隆と、延麒・六太とが交わした誓約(ちかい)だった。
 民らが、かつての暴君によって廃墟となった雁国の再興を願い続けるなか、漸く新王が玉座に就いたのだ。それから二十年をかけて、黒い土は緑の大地にと、生まれかわりつつある。
 しかし、ともに幸福(やすらぎ)を探し求めたふたりのこどもの邂逅(めぐりあい)が、やがて、この国と王と麒麟と民との運命を、怒濤の渦に巻きこんでいく!!                (表紙折り返しの紹介文より)

 これも再読。
 六太の王に対する不信感、でもどうしようもなく王を望んでしまう麒麟としての本能。…ってあたりをすっかり忘れてました。(←メインテーマじゃん!!) 「何でこんなに覚えてないんだ??」という自分への疑問は、後半まで読み進むと解けました。斡由の造形があまりにも胸にイタくて、そっちばかりが印象に残ってしまった訳ですね。
 褒められたいという承認欲求の強さ、自我が肥大し自分の失敗を認められない斡由。これがあの頃に自分には突き刺さったんだよなぁ、いや、今でも読むとイタいイタい(苦笑;)。
 六太が「王」という制度を認められず言う「皆が王を選べばいい」は、民主主義の基本ですよね。戦国時代(多分)生まれの六太からするとかなり斬新な発想の筈。で、斡由の要求「院政を敷け」は、『白銀の墟 玄の月』にも繋がるじゃないか、と改めての一貫性に驚きました。その制度なら政策に失敗しても罰を受けるのは別の人、って意味でもいかにも斡由らしい。認められたくて善政を敷く、まではいいんじゃないか、という問いかけに対する答えが短篇『漂舶』になる訳ですね。責任を取る覚悟がないのは為政者としてちょっとねぇ。
 アニメ『十二国記』は私全話見たんですが、どうもこの延国の回だけ思い出せなくてですね。CDブックとは配役違う人いるな、と思った覚えがあるから絶対見てる筈なんですが、確認しようにもビデオテープでしか記録してなくてですね;;
 NHKさん、今更ですが再放送してくれないかなぁ。…ついでに新作も。